第三十五話「戦いを経て」


《亡者の鎌》と《百花繚龍》の戦いは大陸中に知れ渡るものとなった。


冒険者組合はギルド管理不足として、ネオンテトラの復興資金の大半を出した。


そして、今回の首謀者である《亡者の鎌》ギルドマスター・ディザドやギルドメンバー、裏ギルドの者。計1200人はその場で死亡。ギルド《亡者の鎌》は解散、五大ギルドも繰り上がって新たにギルド《生命の雫》というギルドが五大ギルドとなった。


ネオンテトラの復興もギルド《百花繚龍》の冒険者や近隣の冒険者、そして領主の騎士達総出で今も行われている。



          *



「ちょっとゼウスさん!その木材はあっちです!」

「そうかそうか、あっちだな!あっ…」


ボキッ!


ゼウスが担いで運んでいた木材がゼウスの力で折れてしまった。

「あっ!ゼウスさん!それ何本目ですか!?」 

「5本目…いや7本目だったかな?」

「12本目です!」

「そうだったな!ガハハハ!」

「笑い事じゃないですよ!木材取りに行ってくださいね!」


ゼウスは笑いながら木材を取りに行った。

そして、ゼウスと話をしていた冒険者がスハラを見つけて話しかける。


「ねぇスハラ!リーシャ知らない?ちょっと用があるんだけど」

「あぁ…リーシャなら森の方に行ってるよ」


「また行ってるの?」

「まぁそれだけ悲しかったんだろ」


リーシャはとある場所によく行く様になっていた。



その場所は、リーシャとリードが出会った場所である森に少し入った場所にある。

リードと依頼を受けたときにリードが好きだと言っていた場所だ。


そこは、一帯が花畑になっており。リーシャは花畑の中央に立っていた。

リーシャの前にはお墓が二つ置かれている。


一つはリードの墓であり。もう一つはリードの妹であるリースの墓だ。


リードの死後、リーシャが建てたものである。リースのお墓はリードが一人にならない様にとリードの手帳の中に書いてあったリースの墓から移してきたのだ。


「リードさん。妹さんと会えましたか?こっちは大丈夫です。あちらで妹さんと作れなかった思い出をたくさん作ってくださいね」


リーシャがここにお墓を立てたのにはリードが好きだったのともう一つある。


この花畑で群生している花が理由だ。


その花の名はサルビア。燃え盛る炎の様な花で、リードを象徴する様な元気の出る花だ。


花言葉は、家族愛


自分の人生を全て妹のために使い、最後まで妹のことを思ったリードにピッタリな花だった。


そして、今日もリーシャはここで話をする。

楽しい冒険の話を…


サルビアの花びらはそれに応える様に美しく舞い上がった。

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