第三十四話「襲来」
無事リードを倒した
「二人ともよく頑張ってくれたな。私がいない間ネオンテトラを。ギルドを守ってくれてありがとう」
スハラは勝った喜びで胸ポケットから取り出した酒を飲む。リーシャは静かに倒れたリードを見ていた。
「リーシャ…安心しろ。あいつは殺していない」
「あ…はい。それは信じているんですが、何でリードさんがこんなことをしたのかなぁと思って」
「そうか、それならあとでゆっくり聞けばいい、私も聞きたいことが多いのでな」
と二人がリードへ歩き出そうとした時
「いやぁ…でちゃったなぁ逸脱者」
どこからか声が聞こえた。リーシャが周りをキョロキョロしていたらアインが上を向いていた。
リーシャも同じ方向を見ると、
宙に浮いた男の姿があった。
その者は、先ほどまでアズラエルと戦っていた
「お前は何者だ?」
アインが
「僕?僕は
すると、
「僕は
その場のアイン以外の全員が驚く。
「十二使徒って滅びたと言われてる《堕ちた女神》の配下だろ!?」
スハラは驚きを隠せず叫んだ。
「だがあの方は復活した。そして、僕たちもこの世で強すぎる力を持ってしまった所謂、逸脱者を排除していた。今回は《百花繚龍》の主要メンバーの抹殺だったんだけど…
予定変更でそこの女を殺す。龍王級のものを生み出せる魔法など、これから成長したら脅威となるからね。彼の方に報告しないといけないことも増えたし早く終わらせようか」
フィリポは手を前に出し真っ白な弓を出現させる。そして、魔素で作り出した矢を射掛けた。
リーシャは大量に魔素を消費した影響でその場から動けずにいる。アインも深く思考していたせいで動き出しが遅れた。
ズドォオオオオオン!!!
リーシャがいた場所に底が見えないほどの穴が空いた。
穴の横には倒れたリーシャと…
下半身を失ったリードがいた。
*
フィリポがリーシャに向けて矢を射掛けた、その瞬間…
「リーシャ!!!!!!」
リードが力を振り絞りリーシャの方へ飛び、押し飛ばした。
そして、その場に光の柱が現れ。消えた場所には底の見えない穴が空き。リーシャを庇ったリードの下半身は腰から下がなくなっていた。
「リードさん!!!」
リーシャが慌ててリードに駆け寄る。
リードは血を吐く、魔術の岩でギリギリ止血をしているが隙間からドクドクと血が流れている。
リーシャも魔法で布を取り出して止血を試みるが布は真っ赤に染まり、血は止まらない。
「無理だよ…リーシャ。あたしは助からない」
「そんなこと言わないでください!まだ私はリードさんがなんでこんなことしたのか怒ってません!冒険譚だって全部聞けてません!
冒険者に必要なことも聞けてません!!」
リーシャの瞳からポロポロと涙が溢れる。
「だから…死なないで…」
リーシャの声は力なく落ちる
「あぁ…なんであたしはあんたを助けちゃったんだろう…なんでリーシャに妹の影が見えてしまったんだろうね」
リーシャが泣き続ける。ボロボロと涙を落としながら。
「死なないでください…」
「泣くんじゃない!!」
リードが力を振り絞り声を上げる。
そして、優しく語りかける。
「リーシャの冒険はこんなところでは終わらないだろ?」
リードは手を空にかざす。
「この世界は広いんだ。あんたが思うより広いんだよ。その中には色んな出会いがあるんだ。ここで躓くなリーシャ!私みたいにゃなっちゃダメだよ。それにねぇ…冒険者に必要なことなんて自分で学びな!」
そして、リードはニカッと笑った。
「リードさん…」
リードが空にかざした手が地面に、落ちた。
リーシャはこの時、より成長した。
リードの死を悲しみ、リードに感謝した。
その後、偉大な冒険者となる。
リーシャの冒険は、ここから始まった。
*
「あ〜あ、外しちゃったよぉ。まぁもう1か…」
とフィリポが弓を構えた瞬間、剣が空を舞いフィリポを襲う。
フィリポはそれをギリギリで躱す。
「危ない、危ない。いるのを忘れてたよ〜《百花繚龍》ギルドマスター・アイン。
だけど、あんたを相手をしながらあの子を殺すとなると骨が折れるし、今日のところはお暇させてもらおうかな。貴方は殺さないからね…ではそう言うことで。天輪の跳躍」
「待て!!」
フィリポが転移で逃げるところを止めようとアインが魔法で剣を飛ばすが間に合わず剣が空を切った。
「十二使徒か…」
こうして、波乱を巻き起こした五大ギルドである《亡者の鎌》と《百花繚龍》の戦いは終わりを告げたのだった。
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