第二十二話「Sランク」
トレイル王国・指定危険区域入り口
そこに、ハリシャと《百花繚龍》のAランクパーティの一つが向かっていた。
「ここから先は立ち入り禁止である。冒険者であっても通ることはできない!」
と警備していた兵がハリシャ達に声を上げる
「ん」
とハリシャが冒険者組合で発行した許可証と依頼書を手渡す
「なんだこれは?えっ!《百花繚龍》の方々でしたか!失礼しました。どうぞ通ってください」
そして、ハリシャ達は竜退治に向かった。
「先輩、あの方々はどなたですか?」
門の前にいる、二人の警備員の内の許可証を見なかった方が疑問を述べた。
「お前知らないのか?あの方々は冒険者のトップ、五大ギルドの一つ《百花繚龍》だぞ。
しかもAランクパーティと一人最高ランクのSランクもいたぞ」
「それはすごいですね!」
「あぁこの区域で炎竜が増えていたから、助かったな」
「そうですね」
*
ハリシャ達は危険区域内を歩いていた。
「今回の依頼は竜退治、もし上位個体の龍がいたら私が相手をするから安心して」
「「「はい!」」」
まず、竜と龍に差がある。竜、別名ドラゴン
ブレスと爪での攻撃が主だが
上位個体の龍は知恵を持ちブレスや爪以外に魔術も使い、個体によっては人型になったりするため強い。
そして、今回のAランクパーティは剣士、魔術師、重剣士、神官、召喚士の五人だ。
「今回の作戦は基本的にあなた達を中心にする。私は後衛から
竜は飛ぶ、一応あなた達には飛行魔術を付与するから頼んだ。劣勢になった時は私が相手をする」
作戦の話をし終わると、依頼書に書かれた場所に着く。すると
「ギャァァアアアアアアオオオオオオ!!」
ハリシャ達の前に二匹の炎竜が現れる。
「戦闘態勢、第四階梯多重詠唱・
Aランクパーティ達の体が少し浮遊する。
その後も
「すごい…」
体から力が溢れ出る。今ならどんな動きもできるかのように。
「じゃあ、がんばれ」
ハリシャは気怠げに応援する。
そこからのAランクパーティの快進撃は目を見張るものであった。ハリシャに強化されているとしても、ほとんどハリシャの援護なく戦いを終わらせた。というわけにもいかなかった。Aランクパーティは気付いてなかったがハリシャは
このサポートにAランクパーティが気付くのは帰路でハリシャがほぼ単独で
*
スルド統一国家・
「それでは、今回はCランクパーティ《鬼道》の昇格試験を開始します。試験は簡単、
組合管理迷宮の最奥にて高濃度の魔素が凝縮された魔晶石の回収です。この度試験官となりました《百花繚龍》所属、Sランク冒険者ツバメです。よろしくお願いします」
とツバメが挨拶をすると、目の前にいた五人組の一人が前に出る。黒く焼けた肌と金髪をリーゼントのような髪型で長槍を持った男
今回試験を受けるCランクパーティ《鬼道》のリーダー・ゴーラだ。
「はっ!Sランクだかなんだか知らねぇが、
この俺様はなぁ!世界一の冒険者になる男なんだよ!だから、女のくせにSランクだからって調子乗んなよ!」
「流石だぜ!兄貴!」
と傲慢な態度を取るゴーラに便乗する《鬼道》のメンバー達。
当のゴーラはツバメの胸を卑しい目で見ている。
(下劣な男が…)
「別に調子には乗ってません、私はギルドに正しく評価されただけです。Sランクとしてね」
チッとゴーラは舌打ちをする。
「では、試験を始めましょう」
ゴーラ達は苛立ちながらもダンジョンへ入っていく。ツバメもその後ろをついていく
一応、迷宮とは…
迷宮には2種類ある、遺跡型と出現型
遺跡型は古代の城や建物の事で古代文明や古代技術の魔道具や装飾品などが出てくる。
遺跡を守るゴーレムや住み着いた魔物が冒険者の前に立ちはだかる。
出現型はなぜ現れるのかは不明。ただ、迷宮最奥の制御球の破壊されると迷宮も消えるが
どの迷宮も壊さない理由がある。それは迷宮が魔晶石の発掘場所だからだ。出現型は魔素濃度が奥にいくほど高く、魔晶石ができやすい。最奥の制御球は魔物の出現頻度と数、魔物の強さを変更することができ。魔物を少なく弱くすることも、全く現れないようにすることもできるため、試験のために用いられることが多い。今回も出現型の迷宮である。
今潜っている迷宮は六層でできており。
二層と四層に階層ボスがおり。六層にダンジョンボスがいる。
現在、ゴーラ達は第四層階層ボスエリア前
すでに、疲労が見えてきている。
「楽勝じゃねぇか!ダンジョンなんてよぉ!
はぁはぁ」
「そ…そうっすね兄貴」
ゴーラも息を切らしているしパーティメンバーも疲れが見える。
ツバメは黙って見守るだけだ。
ここまでも、気配をできるだけ殺して魔物に狙われないようにしている。
「だけど、階層ボスなんて二層目と同じで楽勝だろうよ」
実際二層目までは本当に余裕があった。
だが、三層目からトラップに引っかかり続けたり、回復ポーションの所持がそもそも少なく回復できなかったりと、本当にCランクパーティか怪しいと思われる場面が多かった。
(そもそも鬼道は盗賊狩りや護衛が中心に受けていたようですし、魔物との連戦は経験がなかったのでしょうね)
そして、ゴーラはボス部屋の扉に手を当てる
「よし、お前らいくぞ!」
「「「おう!」」」
そして、気合十分にボス部屋に入っていった。部屋は円形で天井がものすごく高く造られている。そこにいたボスは大きな蜂のような魔物だ。大きさにして成人男性2.5人分ぐらいの大きさはある。大きさの割に素早く針の先から毒の粘液を飛ばしてくるし時々近づいてきて手で引っ掻き攻撃もしてくる。
しかし、今回はゴーラ達の武器を見て近づくのは危険と思ったのかゴーラ達の届かない距離から毒を飛ばしてくる。
「クソッ!こっち来いよ!ビビってんのか!?」
と上空にいて攻撃できず避けてばかりのゴーラが叫ぶ。《鬼道》唯一の弓使いは序盤でダメにした矢が多く、体力の消耗や技術力が足らず当たらない。
「おい!早く矢を当てろよ!」
「こっちだって避けながらやってんすよ!」
と口喧嘩を始める始末だ。
そして…
「うわぁあああ!!!」
パーティの一人が毒を腕に受けてしまい槍を落とす。
「おい!大丈夫か!」
とやられた者に駆け寄るゴーラ
だが、そこを魔物は突いてくる
ボスはゴーラ目掛けて毒針を放つ、ゴーラは不意を突かれて驚き目を閉じてしまう。
だが、毒針は当たらなかった。
そのかわりキィイイイインという金属音が部屋に響いた。
ツバメが刀で毒針を防いだのだ。
「パーティリーダー及びメンバーに命の危険が出たと判断しました。試験を終了します」
そして、ツバメは
「待てっ!」
ゴーラの叫びも虚しく全員が転移し、迷宮の入り口に戻ってきた。
「では、試験は終了しました。試験を報告するため近くの組合へ…」
「おい!待てよ!」
「なんですか?」
「お前に止められなくても勝てたんだ!お前が止めたから勝てなかったんだぞ!」
「何を言ってるんですか?」
「たしか、試験の中にランクの上位の冒険者と戦うってあったよな」
とゴーラは突然試験について聞いてくる
「それは、一部のBランク冒険者やSランクへ挑むAランク冒険者だけのものです」
「そんなのしらねぇよ!お前のせいで失敗したんだからよ!」
ゴーラは聞く耳を持たずに始めようとする。
「まぁいいでしょう身の程をわからせてあげます。とその前に」
ツバメは異空間から一つの瓶を取り出して腕に毒を受けた冒険者の腕に掛ける。
それは上位の毒消しだ。
「す…すまねぇ」
「私は試験官としての仕事をしたまでです」
そして、ツバメは準備万端とばかりに長槍を構えるゴーラの元へ向かう。
「では、《鬼道》リーダーの要請を受け、リーダー・ゴーラの昇格試験を新たに執り行います。ルールは簡単相手を試験続行不可能にするか敗北宣言させたら勝ちです。ですが、私とあなたとではランク差があまりにもあるためルールの変更をさせていただきます。貴方は私を跪かせるか…」
ツバメは刀で半径1mほどの円を書く
「この円から出したら勝ちです。いいですか?」
「舐めんじゃねぇぞ」
「舐めてなんかいません。妥当な試験内容です」
「吠え面がかせてやるよ」
「いいでしょう。では、このコインを投げるので落ちたら開始です」
ゴーラは頷き長槍を綺麗な円を描くように回して構える。ツバメは剣を鞘に収めたまま持ち棒立ちでいる。
そして、コインが綺麗な金属音と共に放られた。高く上がり、クルクルとゆっくり落ちる
その間の緊張感は計り知れない。クルクルと落ちていき、地面に落ち…
ブオッ!
ゴーラが踏み込みツバメの顔目掛けて空気を切る勢いで渾身の突きを放つが、顔を傾けて避けられる。そして、立て続けに顔・腹・脚を狙う3段突き、フェイントを混ぜた2段突きなど出していくがツバメは最小限の動きでそれを避け続ける。
しかも、直径2mの円から出てない。さらには
円の中にさらに小さな円があるかのように避け続けておりツバメは一歩も足を動かしていない。
「クソッ!クソッ!なんであたらねぇんだ!」
ゴーラは額から汗をダラダラ流している、
そして、後ろへ飛び退き息を整える。
「終わりですか?」
ツバメは息を切らしていなければ汗も流れていない。そんな姿に苛立ちを覚えたゴーラは息を思い切り吸ってまた攻勢に出ようとするが
「時間もないですし、そろそろ終わらせましょう」
とツバメは言って居合の構えを取る。
「いくぞ!」
ゴーラは踏み込む。そしてゴーラの首が落とされた
ようにゴーラは錯覚する。首はいまだに繋がっており、一歩も進んでないしツバメも構えたまま動いていない。
「あら?攻撃してこないのですか?」
「今する所だ!」
「では、かかってきなさい」
そして、一歩踏み出す。ゴーラの両腕が斬られ胸を一突き
されたように、再び錯覚する。
ゴーラから脂汗がダラダラ流れる、汗のせいで服がべったり背中にくっついている
「兄貴何してるんですか!」
「うるせぇ!今タイミングを見てるんだよ!」
そして、ゴーラは踏み込もうと何度も挑戦するが。胴を真っ二つにされたり、両足を切り落とされたり、袈裟斬りをされたり、たくさん自分が死んだように錯覚する。
なぜ、ゴーラは踏み出せないのか。
それは、ツバメとの力の差がありすぎるからだ。ツバメは殺気を少し漏らしただけだけれど、その殺気にゴーラは本能的に避けようとするが体は進もうとする。それを無理矢理止めようと自分が死んだように錯覚してしまうのだ。そう、ツバメはゴーラに死を錯覚させたのだ。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
ゴーラは息を切らし長槍を地面に落として膝をついている。額からは汗が滝のように溢れて地面に落ちる。
「だ…ダメだ力の差がありすぎる。俺の負けだ」
「あ…兄貴…」
ツバメはゴーラには近づいて目線を合わせる
「おい、君はなんのためにに冒険者になったんだ?」
「なんのため…?」
ゴーラは最初、理解できなかった。
*
幼少期のゴーラは決して恵まれた環境にいなかった。母親はゴーラを馬車から守り亡くなっていた。父親一人でゴーラを育てたのだ。
ゴーラの父親は元々商人だった。
だが、大きな商会に横領未遂の濡れ衣を着せられて二度と商人はできない様になってしまったが、諦めずにゴーラの父親は冒険者となった。
ゴーラは父親のことが好きだった。どんな人にも優しく、自分を顧みない。毎日通る道に居る食費を求める孤児に毎日パン一つ分のお金を渡し、困った老婆がいれば手を差し伸べ、道に捨てられたゴミをゴミ箱へ運び、どんな冒険者もやろうとしないゴミ処理やどぶさらいの依頼も受ける。自分の家が貧しくなろうともそれを続けた。ゴーラは自分がどのような状況でも誰かに手を差し伸べられるそんな父親が家が貧しくても好きだった。
だから、ゴーラも有名な槍使いの老師に教えを乞い、弟子にしないと言われても何度も通った。許しが出てからも鍛錬に励み、その老師の弟子の中で一番強くなった。冒険者の父を支えようと思ったからだ。
だが父親は薬草採取の依頼中に盗賊によって殺された。
ゴーラは思った。
なぜ!なぜだ!あれほど優しく、人を想った父が死ななければならない!
神よ!
なぜ!市民の税で至福を肥す貴族ではなく父が死ななければならない!
なぜ!父に罪をなすりつけ成り上がった商人ではなく父が死ななければならない!
なぜ!父を殺すような盗賊がいるのに父が死ななければならない!
なぜ!世界に悪と言われる者がいるのにもかかわらず父が死ななければならない!
なぜだ!なぜだ!なぜだ!
そして、ゴーラは気づいた。
そうか、力が全てなのだ。父には力がなかった。だから世界から切り離された。
俺は父のようにはならない、俺は力を得る。
その後、ゴーラは行動に移った。
槍の師を倒し免許皆伝を得て、自分と同じ境遇の孤児を見つけて仲間にした。孤児を鍛えながら全員で冒険者となり父親を殺した盗賊の情報を探した。
だが、盗賊はすでに討たれており。することがなくなったゴーラは地位を欲した。
冒険者としての地位、冒険者ランクだ。
ランクは順調に上がっていき、とうとうBランクへの昇格試験を受けることとなった。それが今日の事だ。
*
「君は何のために冒険者になったんだ?」
「なんのため…?」
「そうだ、何を成したくて冒険者になった?」
「そりゃ力を得るためだ…」
「本当か?」
(本当?俺は何のために冒険者になった?
そういえば父親を支えるため…いや、もう父親はいない。父親は何のために?そういえば昔父親が言ってたな)
「父ちゃんはなんで冒険者やってるんだ?商人に戻らないんか?」
「うっ!ゴーラは痛いところを突いてくるね。
理由は商人に戻るのは難しいからというのもあるけど冒険者は誰かのためになるからだね、小さな依頼っていうのはやりたがる人がいない。
けれど、その小さな依頼でも困っている人がいるんだ。そんな人たちが喜ぶために父ちゃんは冒険者をしているんだよ」
(そうだ、困った人を助けるために父ちゃんは冒険者になったんだ。それに俺も憧れてたんだ)
ゴーラは気づいた
「困った誰かを助けるためだ」
「…そうか、誰かを助けるためか…」
ツバメは腕を組んで、うんうんと頷いている。
「いいじゃないか、それを忘れずにこれから頑張っていけばいい」
「わかった」
ゴーラは何か決心がついたような顔をしていた。
「「「兄貴ぃいいい!!!」」」
《鬼道》のパーティメンバー達が泣きながら
ゴーラに抱きついた。
「兄貴!これからも一生ついていきます!」
「あぁ!鬱陶しいんだよお前ら!」
その後ゴーラ達はBランク昇格試験に落ちてしまうが彼らに後悔はなかった。
数十年後、ゴーラは有名なギルドのギルド長となる。彼はのちにこう言った
「我らは人々のためにある、全員は救えないかもしれないが、目の前にいる一人を救うために我らは冒険者を続ける」
*
ギルド《百花繚龍》のある港街ネオンテトラ
その港から数キロ離れた海域にて
「いやぁ!絶景絶景!ガハハハハ!」
ゼウスはクラーケン退治に来ていた。
ゼウス以外にもサポートで来たギルドメンバーが何人かいる。
その中には突然連れてこられた新人もいる。
「あのぉ先輩」
「なんだ?」
ゼウスのクラーケン退治に同行している女冒険者達も話をしていた。
「なんであの人はこのギルドに入ってるんですか?ギルド《百花繚龍》は女性メンバーだけではないんですか?」
「そりゃあ実力をギルドマスターに認められてるからさ。私も最初は疑ったけどゼウスさんは強いよ」
「あんな愉快なおじいちゃんがですか?」
「そうだよ、あんな愉快なおじいちゃんがだよ」
後輩冒険者は未だにゼウスを怪しんでいるようだ。
それもそのはず、《百花繚龍》はほぼ女で構成された冒険者ギルドだ。その中で男は手で数えられる程度しかいない。
どんなギルドメンバーも最初は疑うものだった。しかも、ゼウスは《百花繚龍》の男性冒険者の中でも古参である。
「やはり海はよいのぉ!」
すると、海の波が強くなる
「おっと?」
波は次第に強くなり、大きく船が揺れた後
急に波が止まる
そして、冒険者達の乗る船の下の海だけ黒くなる。そこには船の10倍はある大きな影があった。
クラーケンだ。
船が大きく揺れる。
そして、船の左右から三本ずつクラーケンの触手がニュルニュルと現れた。
「おぉ!愉快愉快!」
「ゼウスさん!愉快じゃないです!ふざけてないでやっちゃってください!」
「わしに任せろ!」
船が揺れる
「先輩!私たちは援護しなくていいんですか!?」
「いいんだよ!私たちはゼウスさんのサポートと後処理だけだ!」
揺れる船にしがみつきながら女冒険者達は叫ぶ。
そして、ゼウスが動く。
「船員や仲間をやられちゃ困るんでね。第五階梯魔術・雷華」
詠唱後、ゼウスを中心に花弁のように雷の花が開き舞う。雷の花弁はクラーケンの触手を
ズタズタに切り裂き、焼く。
それにクラーケンも驚いたのか叫び声を上げながら触手を下げた。
「先輩終わりましたか?」
「いや終わってないね」
すると大きく波をあげて船の正面にクラーケンが本体を現した。
大きさにして百数十メートルある巨大だ。
「大きいな!」
楽しげなゼウス
「ギャオオオオオオオオオオオオ!!!」
叫び声とともにクラーケンが触手二本で攻撃してくる。
「第六階梯多重詠唱・
二本の触手での突きは龍雷と正面衝突
龍雷が触手を突き破り貫通
クラーケンは痛み悶える。
船が大きく揺れ冒険者達の悲鳴が起こる。
「これ以上うちの者たちを困らせるのはやめてもらうぞ独自魔術・雷化」
そして、ゼウスは雷と同化、雷と同等の速さを得て空を駆ける。
そして、一瞬でクラーケンの背後に着くがクラーケンの残った二本の触手が襲いかかる。
残りの二本は先程のものより倍近い大きさと太さをしている。
「トドメだ!第八階梯・雷掌!」
そして、雷を纏った拳で一突き
(もちろん船員や冒険者に声は聞こえてないためゼウスが第八階梯を使えることバレていない)
クラーケンは体に電気が流れ体が中から焼かれ絶命する。
「すごい…」
「だから言ったでしょ。ゼウスさんは強いって」
ゼウスが甲板へ降り立った時再び船が揺れる。
すると、先ほど倒したクラーケンの死体の背後に先程のクラーケンより一回り大きいクラーケンが現れた。
「ギャォォォオオオオオオオオオオオ!!」
「おっと!さっきのクラーケンの親か?だがすまないなお前さんに取ってる時間はわしにはない」
そして、ゼウスは手を銃のように構えてクラーケンへ向ける。
「
そして、無詠唱化した第十階梯・
クラーケンの巨体に大きな風穴が開き、倒れる。
新人冒険者の口は開いたまま塞がっていない。
「そうそう、最初は私もそうなったよ。だけど。これが冒険者の最高位Sランクの力だよ」
新人冒険者に楽しげに話す先輩冒険者達
「やったぞ!今夜は酒の肴に困らんな!」
食べることの出来るクラーケンが増えて喜ぶゼウス
その夜倒したクラーケンの料理が甲板で振る舞われた。
この世界でクラーケンは中々手に入らない高級食材だ。ゼウスは楽しくそれを肴に酒を飲んだ。
*
とある街の冒険者ギルド
「計画は順調ですか?」
「はい、滞りなく」
「龍魔石の設置は?」
「順調ですが、残りの設置場所はあの港街です」
「あそこか…そこは今度の組合での五大ギルド長会議の時に決行だ」
「わかりました」
「これが成功すれば私はこの国、いや世界を手に入れるのだ」
太陽は沈み夜が始まる
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