第二十一話「ギルドマスター」


スルド統一国家の最南端に位置する港街


その名もネオンテトラ


そこは五大ギルドの一つ《百花繚龍》のギルドホームがある街だ。


ギルドホームにはちょうど会議を終わらせて

帰ってきたアインがいた。


アインがギルドの扉を開くと


「おかえりなさい!マスター!」

と元気よく帰りを労う言葉がギルドメンバーの女冒険者達から発せられた。


「ただいま、みんな」


そして、アインは共にいたツバメの方を向く。

「ハリシャとゼウスを呼んで私の部屋へ来てくれ」

「わかりました」


アインは自室へ向かう。

実はこのギルドには秘密がある。

誰にもバレてはならない秘密が…



         *



コンコン


「入ってくれ」

「失礼します」


入ってきたのはツバメと老人、鳥の獣人の三人だった。


「ツバメ、ハリシャ、ゼウス、御身の前に」

そして、三人は跪いた。


「やめてくれ、三人とも。ここは始帝国ではないんだ」

「ですが、ジン様」

「ここではアインだ。盗聴されないとしても私はこの場ではアインを続ける」

「わかりました…」


そう、五大ギルド《百花繚龍》のマスター:アインはジンが女性に体を変えた姿だったのだ。


そして、目の前に跪くのは


「鬼神」ヤマトに使える刀の扱いにたけた十人のうちの一人


《十刃》

「神速」ツバメ

一つに束ねた髪、人を魅了する四肢。

和服を腰の辺りで着崩し上半身はさらしを巻いている。


そして、

「獣神」レイラに使える十人の獣人戦士の一人


《十傑》

「天鱗」ハリシャ

短い金髪と小柄な体、背中には見事な白い翼が生えている。手には巨大な動物の骨から作られ見事な細工を入れられた白い弓を持っている。鳥の獣人。


最後に15人いる都市長の一人


都市長「全知全能」ゼウス

白く染まった髪に白い髭はどちらも綺麗に切り揃えられている。70代近い見た目の老人で老人には見えないほど若々しく美しい健康的な筋肉を持ち。革ジャンとテンガロンハットを着ている。そして、片目には稲妻が走ったような傷がある。


「まぁ三人とも私がいない間にギルドをありがとう。そして本題に入るけど、今回分配された依頼は三つ。ツバメには話したけど、炎竜退治、昇格試験の監督官、クラーケン退治

の三つをどうするか決めよう」


三人は立ち上がり話をする姿勢になる。


「まず炎竜退治だが。龍じゃなくて竜だから、うちのAランクパーティに一人Sランクを入れれば大丈夫だと思うのだけどどうかな?」

「それでよろしいと思います」


ツバメの了承を得て誰に頼むか決める。


「確かハリシャが教えてたパーティに竜殺し持ってないところがあったと思うのだが。そのパーティにお願いできるか?」

「うん…いける」


ハリシャは小さく頷いた。


「そして、昇格試験の監督官はツバメにお願いしたい」

「拝命しました」


「最後に、クラーケン退治はゼウスと選抜パーティで行ってくれ」

「ガハハハ!わしの腕がなるわい!」


「三人とも頼んだ」

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