閑話2「王真教」


ゴーン ゴーン ゴーン


と鐘が街に響く


ここは始帝国ファウストの都市ツヴァイにある《王真教》の教会本部


教会の中では1人祈りを捧げている女性がいた


元五英傑第三席サラ


現在は王真教の枢機卿


サラは白い聖衣を着て微笑を浮かべている

そして、そこに1人の信者が走って来る。


「サラ様!お客様がいらっしゃいました」

「どなたですか?」


信者は乱れた呼吸を整えて深呼吸をする。


「始帝国幹部の『天主』ルーラ様です!」


その名前を聞いてサラは驚き目を丸くする

(幹部の方がなぜ?私が何かしたかしら?

いやいや、そんなことを考える時間はない)


「そっそうですか、ではご案内してくださ

い」

「はい」


信者が大急ぎで戻る。

サラは自分の聖衣に埃がないか入念に確認して応接間に向かった。



         *



サラが応接間で待っていると扉が開かれた。

入ってきたのは聖女と呼べるような美しい女性だった。

長い金髪はまるで絹の衣のようにサラリとしていて黄金に輝く瞳は優しくも全てを見透かしたように怪しげに光る。

そして、常に微笑を浮かべている


「このような場にお越しいただきありがとうございますルーラ様。それで、何用でしょうか?」

「ジン様を讃える宗教があると聞いて興味が湧いたので来ちゃいました」

とルーラはお茶目な顔をする

「そうですか…」


そして、ルーラは思いついたように質問する

「じゃあ、王真教の教えを教えてください」

「わかりました」


サラは少し深呼吸してから話し始める。

「私達の王真教は第一前提としてジン様を唯一神としています。そして、弱者を守り日々精進すること。弱者であり続けないこと。差別をせず真意を見抜くこと。ジン様は偉大だということ。を教えとしています」


サラの額には冷や汗が流れている。幹部に話して怒りを買ったらどうしようと思っているのだ。


「素晴らしい!!素晴らしいですね、貴方は人間の中では見どころがあるようですね」

「ありがとうございます」


ルーラは明るい笑みでサラを褒める。

そして、ふと何かを思い出す。


「そういえば、なぜ貴方は教皇ではなく枢機卿なのですか?」

「あぁそれは、私で良いのかと思ったからです。元々他所者よそものの私がこの国でジン様を讃える宗教を始めて教皇になるとジン様の配下様達が不満に思うと思ったからです」


「そう言うことですか…」


すると、ルーラは何か思いついたように話し出す。

「では、私が教皇をしてもいいですか?」

「ルーラ様がですか?」


「はい、私ならこの国の幹部ですし何も文句を言う人はいないと思いますが?ジン様には色々と裁量権をいただいていますから安心してください。それでどうでしょう?」


サラは即決する

「それはいい考えですね!こちらからお願いしたいぐらいです」

「じゃあ決定ですね、よろしくお願いします。これからは、私達でジン様の素晴らしさを世界に広めていきましょう!」

「はい!」


そして、2人は握手をする。

この件以降、王真教は世界中で広まり六神教との二大宗教となるのだが、まだまだそれは先のお話。

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