第二章

第八話「建国と管理」

ジン・ファウストの日記より


エンファ多種族共生国家との戦争が終わり一年が経った。その間たくさんのことがあったのでここにその内容を残す。


まず、トワイロス元首都の都市名をツヴァイに改名した。これは《ONRY. WORLD》の時の聖都・ツヴァイと同じだ。そのうち第二都市として都市長をつけるつもりだけど、まだ僕はこの都市にいる。


そして、嬉しい事にトワイロスの民を復活させた事で内乱や国内の不和は少なかった。

ライラの存在も大きかった。民の不安を取り除くのに一役買ってもらったので、この国の人族代表に任命した。その時のライラはあたふたしていたけど


おそらく驚き半分嬉しさ半分だったのだろう。 


ちなみにこの国は様々な種族が集まってきている。


エンファ多種族共生国家から難民や移民が絶えないので、獣人やエルフ、他にもドワーフなどがいる。


いつか、エルフやドワーフの国とも関係を持ちたいが今は後回しにしておく。


そのため人口が爆発的に増加、その最中ランカンを獣人族の代表に任命、部下に移民の中にいた元五英傑アークをつけた。


話を戻して、人口の増加に伴い都市開発を急ピッチで進めた。首都は闇の森を切り開いて浮遊都市を中心に円状に城壁と街を建てた。戦争で獲得したツヴァイも拡張工事をして人口問題は解決された。


他にも都市開発中に民の戸籍を作り。

奴隷制度を廃止、税制度を一新。


そして、義務教育を設けた。

現在、教育面には力を入れている。

6歳から9歳までが初等部、9歳から12歳までが中等部、12歳から16歳までが高等部となり様々な学問を教わる義務教育を設けている。その後は受験し合格すれば国立学院に入学でき、より高度な教育を受けることができる。

国民を蘇生したのと、新しい税制度や保障制度を出したことで国民は僕を受け入れつつあった。いや受け入れている国民がほとんどだ。残念ながら神殿の者たちは出て行ったが新しく病院を建てた。しかも、元五英傑サラを筆頭に首都ヴァーテックの浮遊城下の町では、《王真教》と呼ばれる僕を唯一神としている宗教が、ここツヴァイでも浸透してきている。


そしてこれからも、この国を豊かにしていこう。



         *


始帝国ファウスト都市ツヴァイ

都市長執務室

「いこう、まるっと」

「何をしていらっしゃるのですか?ジン様」

都市長兼執事長のガリシュがそう疑問を吐露した。


「日記だよ。この国がどのようになっていくのか記しておきたかったからね」

「それは良い事ですね、その日記は将来この国の宝になるでしょう」

そんなガリシュの褒め言葉に僕は苦笑した。


ガリシュは真面目ないい男だ、忠誠心も高い。だが、それが少し空回りする時がある。そのため、僕は苦笑したのだ。

「そんな大層なものじゃないよ」

「そ…そうですか」


ガリシュが落ち込んでいると

扉番のメイドがある者の到着を伝えてくれた。今日、会う予定はなかったが何の要件か気になったのでメイドに許可を出すと二人組の男?が部屋に入ってくる。


「よくきてくれたねヴァルシア」

「ジン様もお元気そうで何よりです」

そう言って男?は恭しく跪く。


「魔神」ヴァルシア

見た目は人型の影というのが正しい。全身を全てを吸い込むような闇の靄を体に纏っている。そして、見た目は男だが女性の声をしている


「要件は何かな?」

「それに関しては私から、説明させていただきます」

そう言って一歩前に出たのはヴァルシアの部下《十二宮の悪魔》の1人ハナエルだ。


「罪なき者」ハナエル 

燕尾服を着た女性のようだが、おかしな点が二つ。まず、声が男性のものである事。そして、頭に〈へのへのもへじ〉が描かれた紙袋をかぶっているという事。


彼?彼女?は国の行政が得意な悪魔で、指揮能力が高い。レベルは100と十二宮の悪魔の中では下から数えたほうが早いが。ハナエルの強みは指揮能力の高さと、特殊スキルが仲間に有利に働く事だ。


だが、この世界で今まで会った強者でも、レベル20後半であったり。

元五英傑第一席次ランカンでもレベル30後半だったので、単純戦闘能力ではまだこの世界の基準より遥かに高い。


だが、ゲームでもそうだったが自分が強いと思っていて足を掬われる事があるから気をつけなければならない。


などと考えているとハナエルが話を始めた


「この度、エルフの国・神樹国家シルフィリアから使者が参りました。要件は魔物退治のようですね」

「魔物退治?」


そこからハナエルの説明が続いた。


まず神樹国家シルフィリアは巨大な神樹を中心に巨大な森の中にある国で、エルフからダークエルフ、王族のエンシェントエルフなどが暮らしている。そんな国が今とある危機に見舞われている。


それが、魔物だ。


魔物の大軍がシルフィリアの周囲を囲むように陣取っているそうだ、エルフの調査では知性を持った魔物か魔族が指揮をとっているらしい。


周囲を囲まれているため逃げることもできず消耗が激しく、今回の使者も何人もの死人を出して来たらしい。

なぜなら、エンファとの戦争の話を聞き藁をもすがる思いで救援依頼を出してきたそうだ。国璽が押された紙には国王ブレイブ・シルフィリアの名前と依頼文が書かれていた。


「じゃあ、エルフたちは土壇場ってこと?」

「はい、《闇の影》と《断罪ノ聖典》の調査結果でも死傷者の数も多く補給が間に合っていないようでした」

「今が恩の売り時かな?それとも保護国化するかな?」


ジンが不敵に笑う


「それとも属国にする?」

「「ジン様の御心のままに」」

2人はジンへの忠誠心と共に跪く


「なんてね!まぁエルフに恩を売りたいし、世界一の国にしたいから救援要請を受けようか」

「わかりました、では使者の方をお呼びしますね」

そのままハナエルは部屋を出ていった。


「ジン様、救援に出る者は誰にいたしますか?」


「都市長をここで出すのはやめよう、力を隠したいのもあるけど。おそらくこの程度は都市長直属の部下達で十分かな?でも何かあった時のために僕も行くからヴァルシアには来てもらうけどね」

「わかりました。それで、誰の部下にしますか?」


「アルトリアの直属部隊《断罪ノ聖典》かな」

「それでよろしいかと」


神樹国家シルフィリアの救援作戦が始まる

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