そして、卒業の日を迎えた。

 そして、卒業の日を迎えた。


 長かったような短かったような高校生としての時間。


 三年間通ったいつもの通学路を自転車で登校し、体育館で形式通りの卒業式を行い、涙の浮かぶ目を隠しながら教室へ戻り、先生からの話があって、生徒一人ひとりがみんなに向けて言葉を贈って……。


 あと何があったかすぐに思い出せないけど、そんなふうにして俺の高校生活は終わりを迎えようとしていた。


 昼前。クラスでの最後のホームルームが終了した。


 それでも、俺はまだ学校に残っていた。


 三年間通ったにしてはだいぶ数は少なかったけど、親しくしていた人が別のクラスにもいたりしたからだ。


 というわけで、最後はいろんな人たちを交えながら、教室や廊下で名残惜しむような会話をした。


 本当はいつまでもそうしていたかったのかもしれない。


 けれど、時が過ぎれば自然と手を振る流れになる。


 やがてまた一人になって、急にがらんとなったような教室を最後にもう一度見回しつつ、俺は机の上の荷物を手に取った。


 ――そのときだった。


 制服のポケットの携帯がメッセージの受信を知らせた。


 なんだろう、とすぐさま内容を確かめた。


 すべてを読み終えたとき、俺は教室を飛び出していた。

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