🏫 卒業の日の話

夏休み終了後の残りの高校生活は、遅れていた時計の針を一気に早回しするように目まぐるしく過ぎていった。

 夏休み終了後の残りの高校生活は、遅れていた時計の針を一気に早回しするように目まぐるしく過ぎていった。


 この時期の出来事についても、実は話そうとすればいくらでもエピソードがある。


 例えば恋愛に関する誰かさんの大逆転劇や、高校生活最後の文化祭で起こったこと、俺自身の大学入試前日や当日の体験談など、どれをとっても短時間では語り尽くせない。


 だけど、今回の物語にはあえてそれらは含めないでおく。そこまで話したらきりがないというのを言い訳にして。


 とにかくいろんなことがあった。悲しいことや辛いことも多々あったし、楽しいことももちろんあった。どたばたと忙しい毎日だった。


 そんな激動の日々を送る中で、千歳皐月との交流はあの夏の日を最後に途絶えてしまった。


 接点がなくなった、と言ってしまえばそれまでだろう。


 仮にもっと深い理由があったのだとしても、俺にはその答えがわからない。


 それでも純然たる事実として、俺は夏休みが終わって以降、千歳と顔を合わせることもメッセージのやりとりをすることもなかった。

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