第4話 魔法の練習
手を前に翳し、意識を集中する。全身を巡る魔法素を翳した掌に集中させる感覚を掴んだら、その魔法素が水に変化するイメージをする。……、失敗した。
今の私に出来ること、それは思考と魔法の習得だ。『復讐の魔女』である私が魔法を使うことはゲームの情報にあった。なら素養はある筈で、この先を変えるなら今すぐにでも魔法を習得したい。攻略本の情報によれば『復讐の魔女』の使う魔法は暗闇、そして炎熱だった。これを基に練習すればきっと魔法は早く習得が出来る。しかし暗闇魔法を習得してしまうと1年後に『闇の魔女』の称号を得てしまう確率が上がる気がする。魔女認定自体を何とかしたいのでまずは炎熱魔法の習得を、と思ったのだけれど、どうやら火炙りになる前のレナには炎熱魔法の素養がないらしい、魔法素を感じるところから全く上手くいかない。だからといって前述の理由で暗闇魔法を習得するわけにもいかず、どうしようかを考えた結果が先の失敗だった。
まず闇の要素を分析する。物事には陰陽と中性、または無性があると仮定した場合、暗闇は当然ながら陰性、2周目ラスボスの前身たる私なら陰性の魔法の全てに素養があるのでは、と私は考えた。五行思想なら水と金が陰性、四元素または五大なら水と土が冷性、冷性は陰性に属するから問題ないということにしよう。……どうしてエピソード記憶がないのになくても生活に全く支障のないこの情報が記憶にあるのかはさておき、この記憶が確かなら水は確実に陰性で恐らく暗闇魔法の次に実現性が高い、火炙りになった際の保険として打ってつけでもある、という結論に行き着いた結果が先程の練習だった。
感触は悪くない。炎熱に比べてしっかりとした感覚もあったし、恐らくだけれど発現一歩手前まで扱ぎつけた。そうだとするなら問題なのはイメージ、魔法素が変化するのが間違いなら。
もう一度、手を前に翳して意識を集中する。魔法素を掌に集中させるところまでは同じ、その魔法素に水分が集まって来るのをイメージして──……。
──数十分後
「!! お嬢様!?」
倒れている私と水溜まりが使用人に発見された。
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