第2話 案内された場所
「ねぇ、さっきからおかしくない?」
「何がおかしい」
侵入者扱いとして別の場所に連れて行かれる途中なのだが、通るところすべてにいるのだ。
今、道案内してくれる人物が別の場所にそれも同じ顔が何人もいる恐怖を味わっている。
「同じ顔を見かけるんだけど……。どういう原理なんですか?」
さすがに質問しないとやばいと思う……。
「あー、それは同型だからな」
めっちゃ、便利だな。さすが神界だわ。
「いやいや、さらっと言ってるけど凄いことだよね!?」
自分もそんな力があったら小間使いしたり、学校をサボれるし良い事づくしだな!
変な妄想を繰り広げてると客間っぽいところについたのか前を歩いてた人物が立ち止まる。
「ここに入れ」
「言葉遣い相変わらず酷いなー」
ぶつぶつと言いながら命令されるがまま部屋に入る。
入るとすぐに待っていたのは、やはり同じ顔の人物だが様子が全く違う。
「主、侵入者らしき者を捕らえたので連れてきました」
「うん、ご苦労様」
優しい口調で言っている様子は、まるで神様と言ってもいい佇まい。
同じ顔なのに性格が全く違う!
やはり、主だから格が違うのか?
「にしても珍しいね。人間の客人が入ってくるとは前代未聞だよ」
自分の方を向くのでピシッと背筋を伸ばして姿勢良くする。
「硬くならなくていいよ」
「はいっ!」
思わず敬語で返事しちゃうけど相手の主が困ったな、と苦笑いしながら呟いている。
それをただ眺めるだけの主に使える同じ顔の人物が口を開く。
「主は、優しいのでもっと威厳を見せてください。我々が舐められます」
「まあまあ、でもこの子はとても礼儀正しいから良いじゃないか」
なんでこうも同じ人物なのに性格が違うんだろう。
それに主の方がなだめていると言う不思議な光景を見る羽目になっているし、神界の人ってみんなこんな感じなのかな。
「同型だけど生活していたら性格が変わるから不思議なことじゃないよ」
顔に出ていたからなのか主と言われる人が答えてくれる。
「そうなんですね」
「のんびりしてたけど自己紹介しないとだったね。私の名前は
なるほどと思っていると名前を名乗っていなかったから自己紹介してくれた。
「僕は、
のほほんとした雰囲気の中をいきなり切り裂いたのは主に仕えている人物。
「この流れは、自己紹介しないといけないみたいだけど自己紹介したくないぞ!」
「えぇ、そんな悲しいこと言わないであげて自己紹介してあげてよ」
主が優しく催促してくれたから自己紹介する流れになったけど名乗りたくないとか絶対に僕のこと嫌いだからだよね……。
「狛狐1だ……」
「は?」
思わず汚い言葉遣いになってしまう。
「だから狛狐1だと言っただろ!」
嘘だろ……。同型だからって名前もただ数字をつけているだけで同じなんだ。
だ、ださいとか口が裂けても言えない。
あんなに口悪い人物が名前言うの恥ずかしがっているのが面白さがある。
少しニヤニヤとしていると狛狐1にキリッと睨まれて冷や汗をかいたのだった。
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