第16話、救世主?いやいや、悪魔じゃね?


「救世主様、俺達を助けて下さい。」


スラムに住む住人達が俺達に懇願してくる。

しかも住人達の姿が半人半魔のような異形なものとなっていた。


「ちょっと待て、どういう事か説明してほしい。その姿とかも気になるし...。」


「そうですね、ここは俺が説明します。」


「お前は...?なんか会った事ないか?」


「俺はこのスラム地区出身の元Bランク冒険者のガラームだ。アンタは万年Cランクのクロムだろ?アンタとはギルドで何回か顔を合わしたことがある。」


万年Cランクとか言わんでよろしい...。


「だからか...、それでこの事態はどうしたんだ?何があった?」


「ああ、実はな...。」

それからガラームの話が始まった。

話に私情が多く含まれてて長過ぎたので要点だけまとめると、


・怪我や病気になったが、スラム育ちはお金がないから病院に行けず教会を頼った。その時に薬を飲まされる。


・薬のお陰で全快するが、突如身体に異変が起きて自我が保てなくなる。自我を保つために教会に多額の寄付をさせられる。


・反旗をひるがえすが精神に何らかの作用が働いていて教会に近付くと従ってしまう。


・変な仮面を着けてる怪しい奴等が良く出入りしている。

まあ、こんなところだ。

俺達に敵意をぶつけてきたのは変な仮面の仲間だと思ったらしい。失礼しちゃうぜ。

こんなイケメンフェイスなのにな!!


「シャルルちゃん...。またクロさんが1人でぶつぶつ言ってるんだけど。あの人、たまに怖いよね...。別の意味で。」


「トーマスよ。言ってあげるな...。クロちゃんも悩んでいるのだよ。自分のキャラ作りに...。可哀想に...。」


「おい、お前ら。全部聞こえているぞ。誰が超絶イケメン、街角ランキング1位の男だ!!」


「どんだけ~!!!ポジティブ過ぎぃぃ~!!」


「おい、クズども。キャラ立てようよボケ過ぎだ。私なんてヒロインだから居るだけで華やかになるもんね。そんな低脳なボケしなくても勝手にキャラがたつんよ。あぁ~、2人が必死過ぎて恥ずかしい~!シャルル、恥ずかし!きゃ!」


「お前も充分無理してキャラ作ってるじゃねーか。」


「そうですよ!自分だけ可愛い子ぶりッ子して読者の人気かっさらおうとしたって無理なんですからね。」


3人はもうお互いの足を引っ張って人気を落とそうとしか考えていなかった。


「あ、あの~...。」ガラームが話しかけようとすると、


「「「あぁ?やんのか、オラァ!!」」」


3人の息ピッタリなキレかたに腰を抜かした。


「お~お~、ヒロインがそんな口の聞き方していいんですかね?住民を脅すようなヒロインなんてどの世界に行っても居ないだろうに。それでヒロインって恥ずかしくないのかね?俺だったら恥ずかしくて名乗れねーわ!!」


「はぁ!?万年靴下に穴が開いてて足が臭くて、口が臭くて、顔も頭も万年Cランクの主人公に言われたくないわ!!良くそれで俺は主人公です。何て顔できるわ!!私だったらその顔を捨てて、佐○たけるに整形してくださいって手術受けに行くわ!」


「シャルル、ふざけんな!男は黙って、反町た○しだろ!!GTOなめんな!コラァ!」


「クロちゃんこそ、実写版るろ剣、なめんな!!飛天御剣流、奥義喰らわしたろかい!!」


「いやいや、シャルルちゃん!!そのまま使っちゃダメだって!!ピーとか、○とか、モザイクとか入れないと。文句や抗議がくるって。」


「トーマス。安心せい。るろ剣の和月先生とは育った県が一緒だから大丈夫じゃね?と言ってたんだ。」


「誰が?」


「だから、大丈夫!!」


「だから誰が言ってたのさ!?いい加減な事言ってこの話が終わったらどうするのさ!?」


「ピーチクパーチク、うっさいわ!!ボケぇぇ!!トーマスお前が話を引っ張るからその記憶が残るだろうがぁぁ!!この童貞○野郎がぁぁ!!」


「おい...。今なんて言った?もう1回言ってみろ。」


「何度でも言ってやるわぁ!!この童貞○野郎!!」


「よーし、この糞ビ○チ!!殺ってやるよ!お前、絶対殺ってやるからな!!」


「おぉ、かかってこいや!!」


シャルルとトーマスの決闘が今始まった。

キレたトーマスが剣を構え前に出る。それに合わせてシャルルはバックステップを踏み距離を取った。しかし、トーマスはものすごい速さで距離を詰め技を放つ、


「ウオォォォ!!魔ジ斬りぃぃ!!」


シャルルは余裕でトーマスの魔ジ斬りを躱わす。

ドゴォォォン!!トーマスの魔ジ斬りは凄い音を立てて、教会の金の門を破壊した。


「どこを狙ってる?童貞機関車!!私はこっちだぞ?」

「童貞言うなやぁぁ!!魔ジ斬り!魔ジ斬り!魔ジ斬りぃぃ!!!」


ドゴォォォン!!ドゴォォォン!!と凄い音を立ててどんどんと教会が壊されて行く。


完全に取り残された俺はその様子を見て、煙草に火を着けた。


「フゥ~。セブンスターはやっぱり旨いよな。ガラームだっけ?君も一本どうだい?」


「は、はい...。フゥ~。旨いっすね...。セブンスター...。じゃなくて!!良いのか?止めなくて!?」


「な、何の事かなぁ?全然わかんなーい。僕ちんここに来てから何もしてないし。」


「いやいや、あいつらはアンタの仲間だろ!?」


「仲間ぁぁ~!?違う違う!さっきそこで偶然バッタリあったんだって。まぁ、仲間って言うより知り合い?」


「うわぁ、この人。救世主でも何でもねぇ、ただの悪魔だ。」


「お、俺の事を言ってるの?確かに~、昔は小悪魔系?何て言われた事あるけどぉ。今は全然。若気の至りってヤツ~。」


「クズだ、やっぱり万年Cランクのクロムはクズだって噂は本当だった...。終った...。」


「終わりっていうか、始まりだし~。」


「ギャルみたいなしゃべり方やめい!!はぁ、終ったよ、お前らも、俺らも。」


「ん?それはどういう事だ?」


シャルルとトーマスが激闘を繰り返す中、俺はガラームから詳しく話を聞くのであった。

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