第12話、緊急依頼と衝撃話。
シャルルのパーティー入りが決まって、俺達は下の食堂に来ていた。
おかみさん、もといアンネさんからはシャルルの事をお願いします。と頼まれた。
頼まれるのはいいんだけどさ...。
それから、シャルルがパーティーに入る事で宿代も掛からなくなった。
シャルルがオーナーだからな...。
いや、俺は別に宿代をケチる為にシャルルとパーティーを組んだ訳じゃないからね!
そこは誤解しないで頂きたい。
シズクのお願いだから聞いてるだけで、間違ってもシャルルがオーナーだからとかそういう事で組んだ訳じゃないから。
「皆、そこんとこ宜しくたのんだぜ!!」
「クロさん...。さっきから誰と喋ってるんですか?ちょっと気持ち悪いんですけど...。」
トーマスがジト目で俺を見ながら言ってくる。
「いやぁ、ちょっと読者とな...って、何の話をしていたんだっけ?」
「明日の予定を話し合ってたんでしょ?もう...。シャルルちゃんからも何か言ってよ。」
「だから...モグモグ...。明日はギルドに...モグモグ...行って...モグモグ。」
「おい、シャルル。食べるか話すかどっちかにしろよ。行儀悪いぞ。」
「うるさいな~。この街に来る道中、ろくなもの食べれなかったんだから少し位いいじゃん!モグモグモグモグ!アンネ!!おかわり~!!」
「は~い!!」
アンネと厨房のシェフはさっきから慌ただしくなっていた。そして、シズクが料理をどんどんと運んでいる。
シャルルの目の前にある料理は、吸引力抜群なダ○ソンの掃除機の如く、シャルルの胃袋に入っていった。
「お前、まだ食うのか!?どんだけ食うんだよ!」
「まだまだ、私の胃袋は3合目を登ったところ。これからが本番ね。」
「マジか...。これ他の店で食事したら完全破産するわ。良かった。ここがシャルルの店で...。」
「え?クロちゃん、何言ってるの?」
「何って何が?ここはシャルルのお店だろ?だからこの食事代も
「そんなわけないじゃん!!宿代は
クロちゃん、さっき土下座し過ぎて頭おかしくなったんじゃない?」
シャルルはさも当たり前の様に言ってくる。
「頭がおかしいのはお前だ!!」
「ふぇ?」
シャルルは大きなステーキを口にパンパンに詰めながら間抜けな声を出した。
「シャルル。お前ちゃんと金を持ってるんだよな...?」
「ないよ。」
「はぁ?ならここの支払いは誰がするんだよ!?」
「そりゃ~、パーティーのリーダーであるクロちゃんの支払いに決まってるでしょ?
パーティーの資金から出して置いてね。」
「いやいや...。確かにパーティーは組んだけど...。まだ何も仕事もしてないのに支払いだけしろって、こんなん詐欺だろ!!
パーティーは解散だ!解散!!」
俺は力強くシャルルに言うが、シャルルは妙に落ち着いてる。トーマスはワタワタ落ち着かない様子だった。
「まぁまぁ、クロちゃん。落ち着いてって。」
「誰のせいでこうなったと思ってるんだ...。」
「何で、私がクロちゃんとパーティーを組もうと思ったか理由を話すから。」
「いやいや、お前が食った食事の支払いの件とパーティー組む話は関係ないだろ。」
「とりあえず話を聞いてって。そして、これを見て。」
そう言いシャルルはテーブルに一枚の紙を置いた。それを俺とトーマスは覗くように見る。
「なになに?
緊急依頼。依頼難易度は...S 相当!?ななな、何でこんな依頼をお前が持ってるんだよ!?」
俺は声を荒げてシャルルに言う。
何故、俺が声を荒げたかというと、低ランクの冒険者が高ランクの依頼書を持ち出した場合、よくて冒険者活動の一時停止。最悪の場合は冒険者資格の失効。そして、犯罪者落ちにされると聞く。
俺は何もしてないのに犯罪者の烙印を押されると思い焦った。
そんな姿を見たシャルルはやれやれといった感じで、
「何でってこのトーキーの冒険者ギルドの長直々の依頼だからね。どうにか出来ないかと言われたのよ。まあ、せっかく頼まれたのだから聞いてあげようかな~と。ちなみに私のランクはSランクだからね!」
シャルルは自信満々にピースをして俺達を見てる。その姿に俺は少しイラッとした。
「ってか、お前Sランク冒険者なら俺達みたいなグータラ&駆け出し冒険者を誘うんじゃねーよ。身の程をわきまえろ。」
「クロさん...。言ってる事、すごい格好悪いんですけど...。
まあ、とりあえずはどんな依頼か確認してみませんか?以外と僕達でも出来る依頼だったりして。」
トーマスは突然の難易度S級の依頼に舞い上がっているのか、はたまた自分が駆け出し冒険者という事を忘れたのか?と思うほどにとんちんかんな事を言ってくるので、俺は呆れた声で返す。
「あのな~、トーマス。出来るわけないだろ。最高難易度依頼だぞ。俺達みたいな低ランク冒険者には手も足も出るわけ...。」
と言いかけたところでシャルルが俺の言葉を上書きして話してきた。
「私たちなら出来るよ!!」
「いや、何を根拠に...。」
「やる前から逃げ腰じゃダメ。それにここ見て!!」
シャルルは依頼書の下の方に指を指す。
「えーと、報酬は白金貨3枚である...。
....白金貨ぁぁぁ!!!!??」
俺は報酬の高さに驚いた。
白金貨1枚でトーマスが泊まっていた高級宿で1年グータラしてもお釣りが来る程の報酬の高さだ。こんな依頼が簡単な訳がない。
俺が驚いてる横で、トーマスはふーんっていった感じだった。
「な、内容だ。最も重要なのは依頼内容だろ。こんな馬鹿げた報酬なら依頼事態もとんでもないんだろうよ!!」
俺は報酬の高さに惹かれつつ何とか平静を保つ。
「内容なんだけどねぇ、『魔秘薬の出所を探す。』なんだよね。」
「魔秘薬?」
「何でも薬によって無理矢理、身体能力を上げる薬なんだって。
その後遺症で自我崩壊やら狂人化やらが起きて、ここ最近物騒な事件が頻繁に起きているんだって。」
その話、最近どこかで聞いたような...。
「クロさん。この話ギルドマスターが話してた事じゃないですか?」
「あぁ...。」
確かにギルドでドギマギウオッチング見る前にギルドマスターが言っていた話だ。
その話の依頼書を何故シャルルが持っている?俺は不審な目をシャルルに向ける。
「話って、クロちゃん達はアイツにあったのか?」
「アイツ?」
「ここのギルドマスターだよ。アイツからそういう事話すなんて珍しいなと思ってさ。」
「いやいや、ギルドマスターをアイツ呼ばわりしちゃダメだろ?」
「何で?」
「それゃ立場が偉い人だし。一般常識だろ。」
「立場?それは良くわからないけど、アイツは私の息子みたいなものだからな。」
「「む、息子ォォ~~!!!???」」
大声を上げたら俺とトーマスは理解出来なくてその場で固まってしまった。
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