第92話女神降臨

目を開けて最初に視界に入ったのはイザールとアヴィオールの顔であった。

イザールは愛嬌たっぷりだし、アヴィオールはロリ顔でかわいいな。

起き上がろうとすると頭に激痛が走る。

左右を見渡すと皆、頭を押さえていた。

「うっ……気分悪い……」

雪は口を手で押さえている。

「は、吐きそう……」

咲夜ちゃんは顔面蒼白だ。


淫魔王リリムこと母さんの説明ではあの夢幻迷宮ラビリンスでの戦いの疲れがでているのだという。少なくともまる一日は休養が必要だとのことあった。

ベッドから降りるとふらふらしているところをイザールが支えてくれた。

「ご主人様、大丈夫ですか?」

アヴィオールが心配そうに僕の顔を見る。

「うん、大丈夫だよ。ちょっと疲れただけ」

僕は言う。

本当はちょっとどころじゃなくてかなり疲れている。


僕たちは母さんが用意してくれた部屋で各自休むことになった。

イザールが僕の肩を支えて、部屋まで運んでくれた。

こういうときのイザールは献身的で優しいんだよな。あの洞窟でもそうだっしね。

用意された部屋は白色を基調たした清潔感のある部屋だった。

倒れこむようにベッドに寝転がるとすぐに眠気が襲ってくる。

体というよりも精神や脳が疲れているような気がする。

僕は夢すらもみることなく、ぐっすりと眠りについた。



どれほど眠っただろうか。

目を開けるとカーテンの隙間から光が漏れている。

今は何時ぐらいなのだろうか?

コンコンとノックの音がするので、僕はどうぞという。


木のトレイを持ったイザールが部屋に入る。

なんだかいい匂いがするな。

イザールは野菜スープを持ってきてくれたようだ。

「アルさんが作ってくれたんだよ。消化のいいものがいいだろうって」

イザールは言い、僕の隣に座る。

ほかの皆はと訊くと麗華と雪はまだ眠っているのだという。

咲夜ちゃんはすでに起きて、リリムの部屋にいるのだという。

蓮の世話はロボがしているということだ。


「燐さん、食べれるか」

そう訊かれた瞬間、お腹がぐーと鳴る。

ちょっと恥ずかしい。

イザールの話では夢幻迷宮ラビリンスにはまる一日入っていたらしい。さらに約一日眠っていたので、二日は食事をとっていないことになる。


イザールはふーふーとスープの熱を冷まして、僕に飲ませてくれる。

「はい、あーん」

なんだかちょっとイザールはうれしそうだ。

僕はぱくりとそのスープを飲みこむ。

野菜自身からでた優しい甘さが味覚を刺激する。さすがはアルさんだ。このスープは絶品だ。

「どう、もっといる」

イザールが訊く。

「イザール、君の口で冷まして飲ませてよ」

僕は言う。

「ああっそうだったね。燐さん、それが好きだったね」

今度はフーフーとスプーンの上のスープを吹いて、イザールがぱくりと口に入れる。

口に入れたまま、僕にキスして口の中にながしこむ。

僕はそれをイザールの唾液ごと、ごくりと飲んだ。

「やっぱりイザールの口が一番美味しいや」

正直な感想を言う。

実は他のハーレムの女性たちにもこの食べ方をしてもらったことがあるけど、イザールほど美味しいと思わなかったんだよな。

「お世辞がうまいのね、他の子にもそんなこといっているんでしょう。ほら、残りも私が食べさせてあげるわ」

そう言うとイザールは残りのスープもすべて同じ食べ方で食べさせてくれた。

久しぶりに胃に食べ物をいれたのでかなり落ち着いたな。


落ち着いたと思ったら、今度は下のほうが落ち着かないや。朝立ちみないになっている。

イザールはその山のような膨らみを見るとにこりと微笑む。

「こっちも落ちつせないとね」

シーツをめくり、ズボンをずらすとイザールは僕の直角をむく固いものを口にくわえこんだ。

イザールはそのふっくらとした唇と頬と舌で僕の鉄棒を咥えこむ。ジュルジュルと吸いあげる。

彼女の口は美味しいし、気持ちいい。

しばらくその感触を楽しんでいたが、耐えきれなくなった僕はイザールの口に目一杯射精した。

ドピュッドピュッ……。

脈打ちながら、イザールの小さい口にながしこむ。

はー気持ちいい。

ごくごくとイザールは僕の流したものを飲み干し、丁寧に舌で掃除までしてくれた。

くすぐたっいけどこれも最高に気持ちいいや。

手の甲でイザールは口もとをふく。

手の甲についた白い粘液もなめてしまう。

小さく、かわいいゲップをする。

ありがとうイザール。気持ちよかったよ。

また疲れてきたので、眠くなってきたや。


僕がまたうとうとしているとイザールはベッドに潜りこむ。

僕はイザールのはりのある、それでいて柔らかな体を抱きしめて、もう少し眠ることにした。


今度はそれほど長くは眠っていなかったようだ。

イザールは大きな桶にぬるま湯を用意して、僕の体を丁寧にふいてくれた。

「燐さんたちが眠っている間にアダーラとゲンマがメドゥーサの教会を見つけていてくれたんだよ」

イザールが言い、水を含ませたタオルで僕の体をふいてくれる。

さっぱりとして気持ちいいな。

「燐さん、体が動けるようなら行ってみないか。あの教会を取り戻すのが今回の目的の一つなんだろう」

そう言い、イザールは目もとの目やにをふいてくれる。

「そうだね。すっかり回復したし、行ってみよう」

僕は答えた。



アルさんがまた用意してくれたサンドイッチを食べたあと、僕たちはそのメドゥーサの教会に行くことにした。

一緒に行くのはイザールとアヴィオール、それにウェズン。道案内をゲンマがしてくれる。

その教会はモードレッドの街の西の外れにある。五百年前からあるというかなり古い建物のようだ。

古いけどよく手入れされていて、なかなかきれいだった。

今でも街の人が掃除をしたり、花やお菓子を供えてくれているのだという。


礼拝堂の奥に女神像が奉られている。

その数は全部で三体。

石像なので色がついていないので、どれが誰かまではわからない。

この三体はメドゥーサ、エウリュアレ、ステンノーの三柱だと思う。


「ようやくここまでたどり着いたよ」

僕は女神像に話しかける。

そうするとどうだろうか、女神像が淡く輝きだす。光はその眩しさを増す一方だ。

目が開けていられないほどだ。

思わず、目を閉じてしまう。

次に目を開けたとき、あのメドゥーサが僕の前にいた。


「ありがとう、燐太郎。僕をこっちに呼び戻してくれて」

にこりとかわいらしい笑みを浮かべてメドゥーサは言った。


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