第80話アルタイル騎士団出陣
円卓会議を終え、王宮に戻ろうとする王女一行の一人である瑞白元帥を僕は呼び止めた。
「あっあのこれをミラに渡してもらえませんか」
僕は瑞白元帥に一通の手紙を渡す。
ウロボロスの家紋の蜜蝋で封がされている。
手紙の内容はあの円卓会議での出来事を僕はいっこうに気にしていないというものだ。
たしかに悪魔の申し子なんて呼ばれたのはショックだけど、ミラなりに世の中のことを思って発言したことでもあるのだろう。
「承知した。ミラ殿には渡しておこう。拙者からもゲンマによろしくとお伝え願えますかな」
瑞白元帥が言う。
白兎亭の若女将ゲンマの剣の師匠が瑞白元帥なのだ。
「あの娘には拙者が教えることができるすべてを教えてある。後はゲンマの精進次第だろう。必ずや和久殿の役にたつだろう」
瑞白元帥は言い、僕の右手を握る。
力強い手だ。
僕も精一杯の力で握りかえす。
「ご武運を和久殿。また貴君と馬首を並べとうござる」
瑞白元帥は僕を励ましてくれた。
「ありがとうございます、瑞白元帥」
僕は言う。
明日からまた忙しくなりそうだ。
今回、淫魔王リリムとの交渉はアルタイル騎士団に一任された。
それはそれだけ僕たちのことをリオネル王女は信頼してくれているということだ。
この信頼には必ず答えたい。
それにモードレッドの街はイザールの生まれ故郷だという。
彼女のためにもこの返還交渉は成功させたい。
おもてだっていわないけどイザールも僕の大事なハーレムの一員だからね。
僕のなかでは今のところ麗華、雪、ルイザさん、イザール、アヴィオールがハーレムのメンバーだ。
女神メドゥーサの教義では七人まで妻にできるという。ちなみにミラが信仰するベラ教では男女の一組だけだ。
たしかメドゥーサの教えでは一夫多妻、一妻多夫、同性婚も認められている。
メドゥーサ教のほうが多様性があるな。
モードレッドの街には今なおメドゥーサの教会が王国で唯一残っているという。
この教会も取り戻さないと。
女神メドゥーサの神力を復活させるにはこの教会の存在が必要だとエウリュアレが言っていた。
王女一行の馬車を見送った僕は天狼族の元に向かった。
僕に麗華と雪で向かう。
イザールには三騎士であるゲンマ、カフ、アダーラに召集をかけるために連絡に向かってもらう。
彼女ら三騎士は作戦がないときは王都の警備と見回りをしている。
オリオンにまだかり、僕は天狼族の夜営地に出向く。僕の後ろには雪が乗っている。
雪はチャンスとばかりに僕にしがみつく。
むふっ雪のちっぱいが当たってる。
麗華はわざとだろうか見てみぬふりをしてくれている。
さすがは僕のハーレム筆頭。
器もおっぱいも大きいな。
雪は咲夜ちゃんのことでメンタルが傷ついているので、これで持ち直してくれたらいいな。
ほどなくして天狼族のテントが見えてくる。
そうそう、あらかじめ天狼族の遊牧ルートを教えてもらってあったんだよね。
天狼族は僕の直属なのでいつでも力を貸してもらえるようにね。
天狼族の族長であるロボと渡辺蓮が僕たちを迎え入れてくれる。
僕たちはひときわ大きなゲルに案内された。
夕食がまだなので、天狼族の人たちが用意してくれた。
僕たちは天狼族の肉料理に舌鼓を打ちながら、一連の出来事を説明する。
「そうか、どういう形であれ咲夜が生きていてくれてよかったよ」
スピカこと蓮が言う。
「それでなんだけどさっそくモードレッドの街に明日から向かおうと思うんだけど天狼族も力を貸して欲しいんだ」
僕は蓮とロボに言う。
「もちろんだよ、天狼族はアルタイル卿の直属だからね。地のはてまでつきあうよ」
ロボが頼もしいことを言う。
「そうだな、僕たちもアルタイル騎士団の一員だと自負している。ぜひ、アルタイル卿の力になりたい」
蓮が言った。
断られることはまず無いと思っていたけどこれで確実となった。
騎士団とはいうものの人数が少ない僕たちには天狼族の存在は大きい。
食事をしながら僕たちは進軍コースについて相談した。
雪の提案でいったん北の商都パーシバルを目指し、さらに進路を西に向けモードレッドに向かうというルートをとることになった。
モードレッドの街は王都から見て北西に位置している。
地理的にはパーシバルの街にかなり近い北西である。
天気の良い日にはエジンバラ城の最上階からモードレッドの街がみえるという。
パーシバルの街でいったん休み、そしてモードレッドの街を目指すこととなる。
パーシバルの街ではできればアルファルドさんと合流したい。
天狼族の夕御飯をご馳走になった僕たちは一度アルタイル邸にもどることにした。
待ち合わせの場所は王都の北門から数キロの地点。
未だ王都に入れるのは蓮とロボだけだからね。功績をもっとあげて天狼族の人たちが自由に王都に出入りして商売できるようにしたい。
アルタイル邸に戻った僕たちを三騎士の面々が出迎えてくれた。
「腕がなるね」
そう言い、カフは豊かな胸をボインと叩く。
頼りがいがあるな。
「モードレッドの街か、楽しみだね。あそこの演劇をひさしぶりにみたいね」
アダーラが楽しげだ。
今回は交渉がメインなので時間があれば歓楽の街モードレッドを楽しめるかもしれない。
咲夜ちゃんの話では淫魔王リリムのおかげでかなり治安はいいという。
「師匠直伝のこの剣でアルタイル卿をお守りいたします」
ゲンマは白い羽織に赤い袴姿だ。
どことなく巫女さんを連想させる。
この衣装は瑞白元帥が用意したという。
元帥、わかってるじゃないか。
ゲンマはかなりかわいらしい姿だ。
一晩ぐっすりと体を休めた僕たちはいざ、王都の北門に向かう。
咲夜ちゃんは念のため馬車に乗せた。
その馬車には雪と警護のウェズンが乗り込む。イザールが御者をかってくれた。
オリオンには僕とアヴィオールが乗る。
馬車を中央に僕と麗華が先頭となる。
後ろを三騎士が守る形とした。
これに天狼族が加わるかたちとなる。
この日もルイザさんと救護院の子供たちが見送ってくれる。
それに街の人たちも見送ってくれた。
見た感じ、西側に住む労働者階級の人たちが多い気がするな。
皆、口々にがんばれよとかご無事でなどと励ましてくれた。
この声に必ずや答えたい。
大きく手をふるルイザさんが見えたので、僕は彼女に向けて手をふる。
「騎士様、絶対帰ってきてよ」
ルイザさんはご自慢の巨乳をふりながら僕にそういう。
ルイザさんもモードレッドの街には思いいれがある。
彼女のためにもあの街をとりもどさなければ。
僕は心に誓った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます