第74話可能性の世界

誰かが僕の肩を強く揺さぶる。

それはけっこうな力だ。

誰だよ、せっかく気持ちよく眠っているのに。

「ほら、燐太郎。起きなよ」

それは女子にしてはやや低めな声だ。

眠たい目をこすりながら、僕は声の方を見る。

そこには腰に手を当てた背の高い女子が立っている。

制服の上からでもそのスタイルの良さがうかがえる。

「ほら、起きてって。もう放課後だよ」

その女の子はさらに僕の肩をゆらす。

彼女が動くたびにそのご自慢のおっぱいがプリンプリンと揺れる。

うふっなかなかいい眺めではないか。


「やあ、おはよう。咲夜ちゃん」

僕は彼女の名前を呼ぶ。

そう、目の前の背の高いグラマー女子は僕とつきあっている彼女である石川咲夜だ。

「ほら、口によだれついてるよ」

そう言い、咲夜ちゃんは僕の口をハンカチでふいてくれる。

咲夜ちゃんは優しいな。


「和久さん、今日もあつあつですな」

げへへっと下品な笑いで通り過ぎていくのは友人の篠山だ。


「まあね」

と僕は篠山に言う。

「ねえ、夢でも見てたの?」

咲夜ちゃんは訊く。

「うん、異世界で冒険する夢……」

僕は答える。

「それって燐太郎が好きなアニメの設定じゃん」

うふふっと咲夜ちゃんは笑い、僕の腕に自分の腕を絡める。あはっHカップのおっぱいがあたって気持ちいいや。

少し前の自分ならそれだけでいってしまっていただろう。

「今日、うち親いないんだよね。部活も休みだし、来ない?」

僕の目をじっと見て咲夜ちゃんは言う。

僕はごくりと唾を飲み込む。

「うん、行くよ」

と答える。

「やったー!!」

咲夜ちゃんも嬉しそうだ。



石川咲夜ちゃんは僕が通う高校の代表的な学生の一人であった。

七人の星たちセブンスターズと呼ばれるわが校を代表する学業優秀、スポーツ万能の才能溢れる生徒たちの一人が咲夜ちゃんだ。

彼女はバレー部のエースで県大会優勝に導いた立役者であった。

そんな彼女と僕のようなコミュ障オタクが何故付き合うことになったのか。

それは数ヶ月前にさかのぼる。

二年生になってすぐの話だ。

僕は入学してからずっとひどい苛めと嫌がらせにあっていた。

高校を辞めようかと思うほどの。

苛めのグループの主犯格に僕は七人の星たちセブンスターズの一人である石川咲夜に告白するように命令された。

僕が告白して惨めにふられる様を動画にとろうとしていた。

その様子を見て、嘲笑うつもりだったのだ。


「あの……好きです。石川さんつきあってください」

僕は言った。

言わなければもっとひどい目にあうからだ。

笑い者になるぐらいはまだましなほうだ。

「うん、いいよ。君の彼女になるわ」

石川咲夜はそう答えた。

僕のことをぎゅっと抱きしめた。その巨乳が当たって気持ち良かった。

「今日からこの子は私の彼氏だからね。なんかしたらただじゃおかないんだから!!」

僕をだきしめながら物陰で様子をうかがっていた苛めグループに咲夜ちゃんはそう叫んだ。


それから僕の学生生活はがらりと変化した。

あの石川咲夜と交際することになったのだ。

一気にスクールカースト上位にかけあがってしまった。その日から僕への苛めはピタリと止んだ。

あの七人の星たちセブンスターズを敵に回そうと思うものはいないからね。

しかも何故だか石川咲夜ちゃんは僕にベタぼれなのだ。

学校を代表する美少女とつきあうことになって僕は文字通り有頂天になった。

こんな日がずっと続けばいいのに。



もう何度も訪れた咲夜ちゃんの部屋に僕はいた。ピンクを基調としたかなりかわいい部屋なんだ。ベッドには彼女の好きなキャラクターのぬいぐるみが置かれている。

「これ見てよ、雪にもらったんだ」

そう言い、咲夜ちゃんは僕にペンギンのぬいぐるみをみせる。かわいいペンギンがなぜか手にワイングラスを持っている。

これは少し前に流行ったキャラクターだ。

真田雪も七人の星たちの一人で美術部に所属している才女で咲夜ちゃんの幼なじみだ。

「へえ、なかなか、かわいいね」

僕は言う。

「私とどっちがかわいい?」

ぬいぐるみと自分を比べるなんてそんな無茶な。でも答えは決まっている。

「咲夜ちゃん」

僕は答える。

「うれしい、私も燐太郎のこと好きよ」

咲夜ちゃんはそう言って僕の顔を自分のおっぱいにおしあてる。

ああっこのおっぱいの柔らかくて気持ちいいこと極上だ。

咲夜ちゃんは僕の顔を両手で挟むとキスをする。

ぬるりと柔らかな舌を口に入れ、歯や歯茎を丁寧に舐め、唾液も飲む。


咲夜ちゃんは制服を脱ぎ、真っ裸になる。

寝転がってもそのおっぱいはたれたりしない。つんっと上をむいている。

僕はそのおっぱいを両手でもむ。

指を肉が弾くほどの張りと弾力のあるおっぱいだ。これはたまらんよ。


僕はあわてて制服を脱ぎ捨てる。

すでに僕の下にはえているものはガチガチに固くなっている。

速く彼女と一つになりたい。

「燐太郎のこっちも元気よくてかわいい」

咲夜ちゃんはそう言うと僕のものをその白い手でしごいていく。

うわっ指の刺激だけで射精してしまいそう。

「ねえ、家でオナニーとかしてないよね」

意地悪な目で僕の顔をみる。

そのかわいい顔は小悪魔みたいだ。そう、エロいゲームにでてくるサキュバスみたいだ。

「そんなのしないよ。ちゃんと咲夜ちゃんのために溜めてるよ」

僕は正直に答える。

咲夜ちゃんの体は素晴らしい。

この快楽を知ってしまったらもう自慰なんて馬鹿らしくてやってられない。

「偉いわね」

咲夜ちゃんは僕の頭をなでる。

同級生だけどお姉さんみないだな。


慣れた手つきで僕のものにコンドームをつけると咲夜ちゃんは導いた。

大きく足を開いて僕のものを受け入れる。

僕は夢中になって体を動かす。

うれしいことに咲夜ちゃんも感じてくれていた。

「気持ちいいよ、燐太郎。もう何回もいってるよ」

叫び声に近いあえぎ声を咲夜ちゃんはあげる。

僕も咲夜ちゃんの体からもたらされる快感に耐えきれず、コンドームの中にこれでもかと射精した。

射精直後の快感に僕の体はけいれんがとまらない。


咲夜ちゃんは僕の背中にその長い手をのばし、だきしめる。

僕は快感に震える体を咲夜ちゃんの柔らかな体におしあてる。

「好きよ、燐太郎。ずっとずっとここにいようよね。ここにいたらもうあんな危ない目にあわなくてすむんだから。燐太郎は世界なんて救わなくていいのよ。私とずっとここで気持ちいいことしてようよ」

咲夜ちゃんは言い、僕にキスをする。

「うん、そうするよ。僕も咲夜ちゃんのこと大好きだよ」

僕は言う。

彼女の体は最高だ。

最高に気持ちいい。

それにこんな内気なオタクをなんのみかえりもなく愛してくれる。

僕には咲夜ちゃんしかいない。

それで十分じゃないか。

こんなにかわいい彼女がいるんだ。

もう世界はそれだけで十分だ。

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