第73話三千万世界への誘い

麗華たちが叩きのめしたのはグロスター伯爵という人物でアヴァロン王国建国から王家に仕えている名門貴族であった。

麗華はこの事件の責任をとり、王国軍少将の地位を辞職した。

このことにより、麗華と王国軍との関係はかなりうすくなった。

百鬼軍の創設に尽力した麗華が完全に去るのは王国軍にとってはなかなかの痛手となる。

オグマなどはこの辞職に反対したらしい。

わざわざ庶民の住む場所まで行って喧嘩をしかけたのはグロスター伯爵なのだから、彼に完全に非があると言うのである。

麗華と百鬼軍の関係が完全にきれるのは国にとっての痛手であるとも言った。

これは彼なりに軍のことを考えてのことだと思うし、オグマなりの矜持があるのだろう。

その意見は嬉しかったが、麗華はそれでも責任をとると言って、少将の地位を返上した。

名誉を重んじる貴族らはこれで一応納得することになった。

異論は内務大臣のアルクトースが認めなかった。

「やれやれですな」

僕の肩を叩き、エルナト財務大臣は言った。

「そうですね」

と僕は答える。

グロスター伯爵との件はこれで一応の決着がついた。

たぶんだけど僕たちアルタイルはこれでますます、生き残りの貴族たちによく思われなくなっだろう。仕方ないことだけどね。



グロスター伯爵との喧嘩からさらに三日が過ぎた。

やはりというか、石川咲夜をみつけることはできなかった。ただ副産物的にアルタイル騎士団の王都における評判はかなり上がった。

僕たちアルタイル騎士団が王都を歩くことによって大小様々な犯罪が減ったという。

これはルイザさんの見解であった。

ウロボロスの腕章を見かけただけで、良くないことを考えているものはどこかに立ち去っていくといいう。

はからずも石川咲夜捜索が王都の防犯に一役買ったことになる。

昔からの貴族たちの反発は買ったが一般庶民の評判はうなぎ登りだ。

「いつも偉そうにして何にもしない貴族を打ちのめしてくれてせいせいしたよ」

とたまたま話をした野菜を売る露天の女将さんにそう言われた。



その日の午後、僕は火星のマーズの訪問を受けた。

いまだにアルファルドさんが帰って来ないので接客用のお茶やお菓子は雪が用意してくれた。器用な彼女は料理も得意なのだ。

「アルタイル卿から預かっていた竜の鱗を使って魔法の品マジックアイテムができたから持ってきたよ」

そう言い、マーズは大陸産の紅茶に口をつけた。

それは二本の短刀であった。刃渡りは二十センチほどだろうか。刃体は漆黒で銀色に浮かぶ波紋が美しい。

「こいつは竜鱗刀の北斗と南斗だ。これは戦闘用というよりも使用者の精神に深く関わることができるアイテムなんだ。まあ、わかりやすい能力は念話かな。他にもいろいろできるようになると思うけど、それはまだまだ未知数なんだよね」

テーブルに二本の短刀をおき、マーズは言う。

これは使い用によってはかなり便利なアイテムになるだろう。

いわば通信手段を手に入れたのだ。戦闘などで離れた別動隊と完全な連携をとれるようになる。

雪とは魔法の力で念話テレパシーができるので、一つは僕が持ち、もう一本は麗華にもってもらおうかな。

「ありがとうございます、マーズさん」

僕は言う。

「いいってことさ。それとは別なんだけどね、麗華に特に用がなくても百鬼軍に顔を出してくれといっといてくれないかな。兵士たちは皆、彼女のことを良く思っている。いつでも戻ってきてほしいと思っているんだ」

マーズは言う。

それは麗華のカリスマのなせる技だろう。

実際に戦場をともにした兵士たちにとっては名ばかりの貴族たちよりも実力のある麗華のほうが信用にたりるのだ。

実際の戦場では名よりも能力あるもののほうが生き残れるからだ。

生き残るためにも兵士たちにとって必要なのは名門貴族ではなく、才能のある指揮官なのであるからだ。

「わかりました、麗華には僕からいっておきますよ」

僕は言う。

でも、すぐには麗華は戻らないだろう。

麗華は僕とともにアルタイル騎士団にいれることをなりよりも喜んでいたからだ。



その日の夜、僕は一人でアルタイル屋敷にある浴場で湯船につかっていた。

うん、やはりお湯は気持ちいい。

熱いお湯はそれだけで一日の疲れを癒してくれる。

鼻歌でも歌いたくなる気分だ。

僕が一人気分を良くしていると湯煙の中から誰かがあらわれた。

白い湯煙の中から何者かがこちらにゆっくりと近づいてくる。

そのシルエットからかなりの巨乳だとうかがえる。

ということは麗華かアヴィオールかな。

むふっまたお風呂でエッチなことしようかな。

どうやら背の高い人物のようだ。

ということはアヴィオールではないな。彼女はロリ巨乳だからな。脱皮してから背が少しのびたようだけどまだまだロリ顔をしている。

じゃあ、麗華かな。


湯煙からあらわれた人物を見て、その予想が外れていることがわかった。

その人物はなんと石川咲夜だった。

咲夜は一糸まとわぬ姿で僕の前にたっている。

プルルンとかなりいい巨乳をしている。

麗華ほどではないけどこれはこれで立派なおっぱいだ。

お腹は見事な腹筋できれいにわれている。

さすがはバレー部のエースだ。

ヒップもかわいい桃尻だ。

さすがはサキュバス。エロい体をしている。


咲夜は静かに湯船に入る。僕の隣に座る。


あれっおかしい。体がうまく言うことをきかない。

さてはサキュバスの特技スキルである魅了をつかっているな。

レオナルドの羽ペンがないので不可侵領域を発動できない。

ならば念話テレパシーで雪に助けを呼ばないと。


咲夜は人差し指を口にあてる。

「大丈夫よ。とって食べたりしないから」

咲夜はそう言うと僕に唇を重ねる。ゆっくりと舌をねじ込み、僕の舌と絡める。

ううっ、ねっとりとした舌が気持ちいい。

咲夜は僕の唾液をのんでいく。

「近くでみるとなかなかかわいい顔をしているのね。鷹峰がぞっこんなわけね」

咲夜はそう言うとその立派はおっぱいで僕のすでに鉄のように固くなったものを挟む。

クチャクチャとその肉の圧力でこすりつける。

これはまずい。

気持ちよすぎる。

僕はすぐにいってしまった。

ドクドクとその白いおっぱいに射精する。

快楽が全身をつつみ、僕はぜえぜえと荒い息を吐く。

「うふっ、元気いいね」

咲夜はそのおっぱいに吐き出された白い粘液を手ですくい、飲みこんだ。

「ご馳走さま。これはサキュバスの栄養源なのよね」

うふふっとまた妖艶な笑みを浮かべ、僕にキスをする。

僕はこの快楽に抗えない。

「あの時は馬鹿にしてごめんね。お詫びといったらなんだけどね、いいところに連れていってあげるわね」

咲夜は僕に言うとさらに舌をねじ込み、なにか固形物を飲ませた。

僕はされるがままでそれを飲み込むしかなかった。

「偉いわね、ごっくんできたわね。じゃあ連れていってあげるわ。可能性の世界。三千万世界の一つにね」

その言葉を聞いた直後、僕は意識を失った。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る