第52話ガヴェインの街の解放

浮遊感を覚えた僕はちらりと麗華の顔を見た。

ガクガクと床がゆれている。

「どうやら支配者を失ったラピュタ城が落ちているようね」

麗華が言う。

ふらふらする僕をそのJカップおっぱいで支えてくれる。うはっ、これはいいクッションだ。なぜか背中に雪とイザールが抱きつく。

美少女にかこまれてここは天国かな。

でも実際はゆっくりと墜落しているようだ。

「この感覚はそのようですな。高度から逆算するにもうまもなく地上に墜落しますな」

瑞白元帥が近くの柱につかまる。

ミラもすぐ近くの柱につかまる。


「お、落ちていくのですか……」

青ざめた顔でアルファルドさんが言うと僕の手を痛いほど握る。

きれいな顔が青ざめている。

これは僕の推測だけどアルファルドさんはケイの街ではさっくりと建物から飛び降りていた。地上が見えればどうということはないのだろう。飛行機や飛竜なんかに乗って空高くまで飛ぶのが無理のようだ。

すなわち、超高度高所恐怖症というわけか。


そうこうしているうちにドスンという衝撃が体を走る。

頭に衝撃がはしる。

やがて揺れは落ち着く。


「無事に地上に落ちたようですな。さあ、外に出ましょう」

瑞白元帥が言う。

僕たちはその言葉に従い、ラピュタ城の外縁部分に向かう。

もうこの城には敵らしい敵は残っていないのでかなりスムーズに外に出られた。


気になるのはミラのことだ。

彼女だけが僕たちとわずかに距離をあけて歩いている。

もしかすると彼女は僕が蛇になり、それをもとに戻すことをこばんだことを気にしているのだろうか。

僕は気にしないんだけどな。

誰だって自分が嫌いな生き物にキスをしろと言われたら拒否するはずだ。

それが誰かの命がかかっているとしても少なくともためらうはずだ。

ミラは人として当然の反応をしたまでだ。

今回はアヴィオールがいたから難を逃れることができた。

結果的にもとにもどれたので僕はそれでいいのだ。

だけど、ミラだけは一人後方を歩いている。

後で気にすることないといってあげよう。


あれこれ考えているうちに外縁部に到着した。

一番端から下をのぞくと砂と岩が見える。

ここはあの飛空兵団と戦闘を繰り広げたところだ。

地面を見て、アルファルドさんは安心したようだ。

ロープを近くの木にくくりつける。エスメラルダを背中にくくりつけるとするするとロープをつたいあっと言う間に地面に降りた。

地上に降りたアルファルドさんは手をふっている。

瑞白元帥とミラもそのロープをつたい、地上に降りる。

僕は飛竜に姿をかえたアヴィオールの背中に乗る。麗華、雪、イザールもその背中につかまる。

アヴィオールは過積載でつらそうだったが、どうにか地上に降り立つことができた。

「やっぱり地面があるのはいいですね」

落ち着いた様子でいつものきれいな顔のアルファルドさんが言った。


ほどなくして、百鬼軍を率いるオグマと合流し、僕たちは職人の街ガラハットに向かった。



千以上の工房が立ち並ぶ街ガラハット。

この街に住む職人たちは日夜、刀剣や鎧などの武具から家具や包丁、フライパン、などの日用品、服や靴などの衣類まで精根こめて製造していた。

アブァロン王国の主要産業品がこの街でつくられているといっても過言ではない。


レンガ造りの建物が多く建つその街ガラハットに僕たちはついに入った。

百鬼軍の兵士たちは近くに駐屯させ、主要メンバーだけでその街にはいる。


エスメラルダは毛布にくるまれ、アルファルドさんが抱き抱えていた。

僕たちはこの街の一番大きな建物に入る。

そこはガラハットの街の総督府であった。

僕たちを出迎えたのはこの街の工房ギルドの長である七人の小人セブンズドワーフの一人である火星のマーズという人物であった。

ドワーフというから筋肉質のいかつい男がでてくると思ったが僕たちを出迎えたのは小柄だが、がっちりとした体格の若い女性であった。


ためしに素質ステータスを見てみる。

鍛冶屋マーズ。レベル52,

B92W70H99。

魔力はほぼないが戦闘力はかなり高い。

さすがはドワーフだ。

しかもそのタンクトップのような服の胸元から見える胸の谷間がなかなかいい。


「おおっ、姫様。ご無事でなにより」

マーズはアルファルドさんの腕に抱かれて、すやすやと眠るエスメラルダの顔をみる。

ミラの治癒魔法でかなり回復しているが、全快させるにはきっちりとした魔法治療が必要とのことであった。


僕はマーズにこの街を支配していた飛天王ミカエラを倒し、ラピュタ城を地上に落としたと彼女に告げた。

「ありがとうございます。これで我々はやっと外にでられます」

ドワーフのマーズの話では飛天王ミカエラとラピュタ城によってこの街は完全に封鎖され、ミカエラのためだけの宝飾品や豪華な衣服をつくらされていたのだという。

やっと解放され、職人たちは自分が作りたいものを作れるのだという。

自分がやりたくもないことをやらされるのは苦痛だよな。


事後処理は七人の小人セブンズドワーフにまかせ、僕たちはその日は彼らが用意してくれた宿屋で泊まることになった。

その宿屋はまるでホテルのような佇まいでけっこう豪華だ。

瑞白元帥は豪華なところは慣れないというので百鬼軍の駐屯地に戻っていった。

芯から武士なんだな。男として尊敬する。


ミラも自分の部隊がきになるというのでそちらに行った。

やっぱり距離を開けられているような気がするな。



でも僕はせっかく用意してもらったので、その宿屋に泊まることにした。

たまには柔らかくてあったかいベッドで休みたいよね。


と、その前に久しぶりに風呂にはいらせてもらおう。

大浴場というには狭いが一人で入るのは十分な広さだ。なによりもこの熱めのお湯がいい。疲れがいっきに吹き飛ぶ。

僕が湯船につかり、ぼんやりとしていると湯煙の中から誰かが入ってきた。


背の高い人物だ。

それにかなりボリュームのあるスタイルをしている。

それは素っ裸の麗華だった。

うわっこれはすごいぞ。

なまで見るそのJカップおっぱいはまさに神々がつくりたもうた芸術品だ。

これだけの大きさなのに張りがあり、たっぷりと肉がつまり、まったく重力に負けていない。


ゆっくりとその長い足を湯船にいれ、僕の隣に入る。

「いいお湯ね」

そう言い、僕の顔を見る。

お湯で紅潮したその顔も国宝級にかわいくてきれいだ。

その顔を僕に近づけ、口づけする。

ううっ、柔らかで気持ちいい。

「燐太郎、これで二つ目の街も解放できたのね。さすがは私の燐太郎ね」

ふふっときれいな笑みを浮かべる。

「そんな燐太郎にはご褒美をあげないとね」

麗華はそう言い、僕の目の前にそのご自慢のおっぱいを見せつける。

あれっ、湯気に隠れていたけど麗華の左のおっぱいの内側に何か描かれている。

僕はちらりと麗華の顔を見上げる。

「これって……」

僕はごこくりと生つばを飲み込む。

その子宮を連想させる紋様は淫紋、またの名をメドゥーサの紋章。

快楽を求める者だけがつける紋様。

まさか麗華かがこれをつけてくるなんて。

「雪につけてもらったのよ。さあ、燐太郎楽しみましょう」

麗華はそう言うと僕の口に自分の舌をいれてきた。

ああっなんて柔らかくて美味しい舌なんだ。僕は夢中になってその舌と口を味わった。


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