第47話ラピュタ要塞攻略作戦
用意された幕舎で僕は一人休んでいた。
簡単なものであるが、ベッドがあるのが嬉しい。
あの洞窟で寝ていたため、腰や背中が痛い。
ゴツゴツとした岩場でイザールとあんなことをするからだ。
反省せねば。
しかし、あのチコの実の効力はすごい。
どうやらシャーウッドの森だけで生えているというのではなく、いろんなところでとれるようだ。ハンナさんにもらったノートに書かれていた。
でも、王国ではあまり食べられないという。
食用できるのは知っているが好んでは食べないようだ。
僕がぼんやりとチコの実の活用方法を考えていると麗華が入ってきた。
すぐに下着姿になるとベッドにもぐり込む。
狭いベッドなのでかなり窮屈だ。なんせ麗華は身長が百九十センチもあるからね。
「ベッドが狭いや」
そう言い、僕は麗華に抱きつき、そのJカップ超巨乳に顔をうずめる。
やはりこの安心感は段違いだ。
すぐに眠気が襲ってくる。
今日はゆっくり休んで体を回復させなくては。
ほんとはもっと麗華とエッチなことしたいけど体力の回復につとめないと。
僕が目をつむり、うとうとしていると麗華が自分の舌を僕の口にいれてくる。
麗華の唇と舌は誰よりも柔らかくて気持ちいい。僕はむさぼるように麗華の唾液を飲み込む。
「もう、離さないんだから」
麗華はそう言うとさらに力をこめて僕を抱きしめる。ちょっと痛いぐらい。
「燐太郎は私に生きる意味を教えてくれたんだから」
その言葉の意味はよくわからなかったが僕は眠気に負けてぐっすりと眠ってしまった。
翌朝、僕たちはシャーウッドの森へと馬を走らせた。
メンバーは僕と麗華、瑞白元帥、アルファルドさん、イザール、ミラ、アヴィオール、真田雪の八名だ。
百鬼軍の指揮はオグマにまかせることになった。オグマも同行したがったが瑞白元帥の指示で百鬼軍を率い、待機することになった。
半日ほど馬を走らせ、あの洞窟にたどり着いた。そんなに時間がたっていないのにもう懐かしいや。
「これがその爆撃機なんですね」
雪が首を真上に見上げ、回龍の姿を見る。
僕も回龍の鉄の機体をさわる。
錆びた鉄が冷たい。
「久しぶりだな」
感慨深げに瑞白元帥は言う。
するすると機首に登る。
中の様子を覗き込む。
何度か周囲をチェックする。
そのままパイロット席にすわる。
僕たちも回龍の中にはいる。
中はかなり狭いが、どうやらつめれば全員のれそうだ。
少しの間、瑞白元帥は周りの機器を見てまわる。パチパチとスイッチをいれていく。
ブルンと一つ大きな音がして、回龍が大きく揺れる。
「どうやらいけそうですね。ですがよくてあと一度飛べればいいところですな」
瑞白元帥は言う。
僕は麗華のきれいな顔を見る。
彼女は頷く。
「瑞白元帥、行きましょう。このままこの回龍でラピュタに攻めこみましょう」
僕は提案する。
この古い機体が次に飛べることはないかも知れない。
なら、動くうちに攻めこまなければ。
それに少数とはいえ、ここにいるのは精鋭ばかりだ。
行くしかない。
「ですな。この回龍に次はないでしょう。多少、性急ではあるがこのまま行きましょう」
瑞白元帥はそう皆に言った。
そこにいる全員が頷き、了承した。
回龍は洞窟をぬけ、森もぬけ、滑走路もない悪い岩道を駆け抜け、空にとんだ。
「すごいよ、燐さん。こんな鉄のかたまりが空を飛んでるよ」
はしゃぎながら、イザールが僕の腕に抱きつく。
「もうしわけありません。しばらくこのまま……」
珍しく顔を青ざめさせてアルファルドさんが僕の手を握る。
アルファルドさんはとびっきりの美人だけどその手の固さが歴戦の勇士であることを証明している。あれっ、アルファルドさん、震えている。
そうか、いつも沈着冷静なアルファルドさんも高いところが怖いのか。かわいいところがあるな。
「皆さん、すごいですよ。空が真下にあります」
生真面目なミラも窓からの景色にはしゃいでいる。
この異世界の人たちにとって飛行機から見る景色は新鮮だろう。
ミラの言葉を聞いたアルファルドさんの手に力がこもる。
痛いよ、アルファルドさん。
「見えてきましたぞ!!」
瑞白元帥がそのよく通る声で言う。
その直後、ブスンブスンと鈍い音がして、機体が大きくゆれる。
「もってくれ回龍!!」
瑞白元帥がどうにかして機体を平行にたもとうとする。
「はああわっ……」
もう言葉にならない声でアルファルドさんが僕にだきつく。おほっ、これは柔らかいぞ。そうだ、アルファルドさんのこのメイド服の下はバスト90のグラマーな体が潜んでいるのであった。
「ちょっと、アルファルドさんとはいえくっつきすぎです」
こんなガタガタ揺れるのに麗華が気になるのはそこなんだ。
それに地震のように揺れているのに麗華は平然と僕に抱きつく。
またもや、ガクンとゆれる。
「煙が出てるよ」
アヴィオールが言う。
確かに機体から黒い煙が出ている。
「皆さん、どこかに捕まっていてください。このままラピュタに不時着します!!」
瑞白元帥がそう叫ぶ。
どうやらこの回龍も限界に近いようだ。
窓からいろいろな部品が舞いとぶのが見える。
「ひぃえええっ!!」
アルファルドさんが耳元で悲鳴をあげる。
もう彼女には恥も外聞もないようだ。
僕も冷静を保っていられない。
ガクンガクンと回龍は大きくゆれる。
ミラやイザールも壁に必死の形相で捕まっている。
僕もどうにかして壁に捕まる。
片手だけど。
もう片方の手はアルファルドさんが手の骨が折れるのではないかというほど握りしめている。
そうこうしているとラピュタが眼下に見えてくる。
もう少しだ、がんばれ回龍。
僕が心の中で励ます。
しかし、僕の応援の声が逆効果だったのか、回龍はまた大きくガクンと揺れる。
「うわっあっ!!」
僕は悲鳴をあげる。
なんと空中にういてしまった。
さらに運の悪いことに機体が左に傾く。
そして、なんということだろうか。
僕は機体の外に放り出されてしまった。
こんな状態なのにアルファルドさんは手を離さない。
へっ、アルファルドさん、白目をむいて気を失っている。
「燐太郎!!」
短く叫び、麗華が僕に抱きつく。
あはっ、麗華の超巨乳が顔にあたっているや。これはいいクッションになるぞ。
いやいや、そんな冗談を言っている場合ではない。機体から放り出された僕は急速に落下する。
回龍は逆方向に落下する。
「安心してください、ご主人様」
あっ、アヴィオールの声がする。
彼女は瞬時に
運動神経抜群の麗華が僕とアルファルドさんを抱えたままその背中に着地する。
彼女たちがいて良かった。いなければ地面にたたきつけられ、死んでいたところだ。
飛竜になったアヴィオールはゆっくりと着地する。
回龍は煙をあげながら遠く、僕たちとは逆の方向に墜落して行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます