第41話獣の騎士
羽柴マリアが生きていた。
本来ならそれは喜ばしいことであるはずが、現状、そうではなさそうだ。
明らかに羽柴マリアは敵軍の中央からあらわれ、誰が見てもわかるほどの敵意ある視線で僕たちをにらんでいる。
そんなににらんでいたら、せっかくの美貌が台無しじゃないか。まあ、麗華にはおとるけどね。
試しに
B86、W56、H88とある。
さすがモデルをやっているだけあってスタイル抜群だ。まあ、おっぱい星人の僕の好みはやはり麗華のJカップロケットおっぱいだ。
じゃあ、なぜ雪とそんなことしたんだと聞かれたら耳が痛いけどね。
そうだ、この際、麗華の
星騎士レイカ、レベル42。
やはりレベルアップしている。魔力以外のステータスも軒並み向上している。マリアよりもレベルは低いものの、戦闘力だけを見れば麗華のほうがはるかに上だ。
B120、W82、H106。
へっおっぱいが少し大きくなっている。さらに鍛えられてバストアップしたということか。今度頼んで生で見せてもらおう。今の麗華なら頼みこめば見せてくれるだろう。
麗華のおっぱいがさらなる成長をとげだことに感動していたら、マリアが敵意丸出しでこちらに攻撃しだした。
サラディンの戦斧を頭上にかかげ、なぜだか僕めがけて一直線に猪突猛進してくる。
美人なだけに殺意のこもった顔が怖すぎる。
ひゃっとそのあまりにも別人の形相となった同級生の顔を見て、雪は悲鳴をあげる。
僕も怖い。あの顔は怖すぎる。
だが、どうして彼女が敵側から僕を殺意をこめて攻撃してくるのだ。
これはまずい。この攻撃を食らえば僕の体はアジの開きみたいになる。
そんなのはごめんだ。
僕は不可侵領域を展開させるために胸元にぶら下げているレオナルドの羽ペンを握る。使いやすいようにイザールに首飾りにしてもらったのだ。
だが、不可侵領域を展開するまでもなかった。ヘラクレスを駆り、麗華が僕とマリアの間にわって入る。竜剣ジークフリードでマリアの必殺の攻撃を防ぐ。鉄と鉄のぶつかり合う音が響く。
「鷹峰、そこをどけ‼️そいつは殺さなければいけないんだ‼️」
マリアが叫ぶように言う。
何故、僕が羽柴マリアに殺されなければいけないのだ。
「何故だ‼️マリア、どうして敵にいるのだ」
器用にヘラクレスをその長い足だけで操り、麗華は竜剣ジークフリードを両手で持ち、マリアの数回におよぶ斬擊を防ぐ。
「雪、おまえまで和久の毒牙にかかったのか‼️」
僕の背中にしがみつく雪を見て、マリアはさらに叫ぶ。
毒牙ってひどいな。一応合意を得て、関係を結んだのに。おっとこれは口外できない。戦闘中でしかも麗華が目の前にいるのに。
「いっていることわからないよ、マリアちゃん」
雪は答える。確かにマリアがここまで僕たちに殺意むき出しで攻撃する理由がわからない。
「鷹峰、雪。よく聞け。この和久燐太郎は己が欲望のために私たちを巻き込んだのだ。私たちはこいつら兄妹の物語のための脇役の道化にしか過ぎないのだ。こいつらの身勝手なリビドーのために本田君は死んだんだ」
マリアはそのアーモンド型の瞳に涙をため、さらにサラディンの戦斧を麗華に叩きつける。
どういことだ、羽柴マリアはなにをいっているのだ。確かに僕は麗華との仲を深めたくてこの異世界に来たけど、それがマリアたちにどう関係するのだ。
彼女たちは僕とは別にエウリュアレによって救国の七騎士として召還されたのではないか。
うん、でも待てよ。
エウリュアレもステンノーもあのメドゥーサと同じく僕のリビドーの化身と言っていた。
まさかエウリュアレは本当にマリアの言う通り、僕の性的欲求を満たすためのなんらかの材料として彼女たちを召還したのか。
事実、雪は僕と関係をむすんだ。その細い体に淫紋まで刻んで。
考えていたら、なんだか頭痛がしてきた。しかもこの考えには答えをみつける手段は今の僕にはない。
僕がマリアの言葉に混乱している間にも戦闘はさらに激しくなっている。
麗華はマリアの猛攻を受けながらも周囲に指示を飛ばす。彼女のリーダーとしての才覚は本当に素晴らしい。
兵士たちは三名一組となり、一人の弓兵が空の敵を射落としている間、残りの二人は槍で弓兵を守る。
アルタイルの団員も素晴らしい活躍をしている。
イザールも短弓の連射で空の敵を落としている。その矢は的確に敵の首や目を射抜いている。アルタイルの中でも弓の腕前はイザールがピカ一だ。
メイド姿のアルファルドさんは長縄の先端に短剣をくくりつけ、それを振り回し敵を攻撃する。たしか、中国武術にこんな戦い方があったはずだ。
あるハーピーはその短剣で首を切りつけられ、怪鳥ロックはその長縄で首をしめられ、絶命する。しかも、これだけの戦いを行いながらアルファルドさんの顔は実に涼しげだ。
戦いはまさに乱戦を極めた。敵の数は単純に僕たちの倍はいる。だけど百鬼軍とアルタイルはその勇気と団結力で戦闘を有利に進めた。
麗華の右翼部隊がマリア率いる飛行魔獣の部隊を引き付けている間に左翼のオグマ隊は敵側面から弓矢で攻撃する。
さらに後ろのミラ隊は麗華隊のさらに右側に移動し、
各部隊を率いる麗華、オグマ、ミラの指揮統率能力も素晴らしいが、そのすべてをまとめる瑞白元帥の統率力も素晴らしいものであった。まさに勇将のもとに弱卒なしであった。
空飛ぶ敵で数も多いという不利をはねのけ、僕たちアルタイルと百鬼軍の勝利は間近と思われた。
無数にいると思われた飛行魔獣軍もその数を二五パーセントまで減らしたかと思われる。
しかし、麗華との一騎討ちからいったん身をひき、部隊を指揮していたマリアはその美貌に不敵な笑みを浮かべている。
自分が率いる軍がこれ程減らされても彼女はまったく平気なようである。
何故だろうか。
どうして、マリアはあれほど冷静でいられらのか。
「本来ならこの手で和久燐太郎の首をはねたかったが、この際、仕方ない。焼け死ぬのも貴様らにはお似合いだ」
そう言い、マリアは彼女が駆るグリフォンと
共に急速に天空に向かって上昇する。残存兵力もマリアに続き、空の彼方に消えていく。
彼女らが消え、僕たちは目にした。
ラピュタ要塞の下腹部に猛烈に眩しく光る熱球が浮かんでいる。
まだかなり距離があるのにその熱球の熱さを肌に感じる。
「ロトの光に焼かれるがいい‼️」
高笑いと共に羽柴マリアはさらなる天空に消えていった。
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