第26話竜族の少女
オーディンの義眼をずらし、肉眼でその黒き
オーディンの義眼で見るとその呪いの言葉がはっきりと見ることができる。
これはこのオーディンの義眼の能力の一つだろう。プラス蛇眼の効果もあるかもしれない。この二つが組み合わさって色々なことを見ることができるのだろう。これは推測だが、まず間違いないと思う。
魔女王ローレライに従え。我に仇なす者を滅ぼせ。
その文章が飛竜の首をぐるぐるとまわっている。まるで飛竜を戒めている首輪のようだ。
レオナルドの羽ペンで呪言を解除できます。レオナルドの羽ペンを使用しますか?
また文字が視界に浮かぶ。
よし、試しにやってみよう。
うまくいけばこの飛竜を解放してあげることができるかも知れない。
僕は羽ペンをぐっと握り、その羽の部分で飛竜の首にまとわりつく文字をなでる。消しゴムで鉛筆の文字を消す要領だ。
文字はすぐに消える。
おっ、これで文字を消せばうまくいくかも。
僕はゴシゴシと羽ペンで文字を消す。
よし、うまくいった。文字がすべて消えた。
ぐったりとしていた飛竜の瞳に生気がもどる。
「あっ、騎士さま」
ミラが僕の服の裾をつかむ。
同時に麗華がキッと睨む。
もう一度、飛竜の首を見るとその文字たちは元に戻って飛竜の首を回り続ける。
飛竜はウウッと唸り声をあげる。苦しそうだ。
解除に失敗しました。ユーザーの魔力が低いためと推測されます。
呪言の書き換えにきりかえますか?
そうか、僕自身のレベルが低いためにこの呪いを解くことができないのか。そう言えば自分の
書き換えか。よし、そっちもチャレンジしてみよう。
僕はレオナルドの羽ペンを握りなおし、再度その飛竜の首の文字を消す。
まずは魔女王ローレライの部分を消す。
そこに自分の名前である和久燐太郎と羽ペンで書く。
文字はしっかりと空間に刻まれる。
次に仇なす者を滅ぼせを消す。
今度は文字が復活する前に短く護れと書き換えた。
和久燐太郎に従え。我を護れという文章に書き変わる。
成功しました。呪言は書き換えられました。
「燐さん、やるじゃない。呪いを書きかえるなんてランスロット魔術都市の魔法使いでもそうはできないよ」
イザールは言い、素直に感心した。
どうやらこれはかなり難しいことをやってのけたようだ。僕はそれほどと思ったけどね。
飛竜が何度かまばたきし、ふうっと大きく息を吐く。
するとどうだろうか。その飛竜の体が変化しだした。
手足が縮み、顔の形が変わってくる。
なんと飛竜は人間の形に変わっていく。
鱗がなくなり、人の肌が見える。
飛竜は小柄な少女に変化した。
ただ、額に二本の角が生えていて黒い鱗がちょうどレオタードのような形で体に残っている。
竜族アヴィオール。レベル68。
B92、H75、H90。
おおっなかなかいい肉つきをしている。おっぱい星人の僕も納得の数字だ。
胸元を見るとくっきりと胸の谷間が見える。身長はそれほど高くないようだ。だいたい百五十センチあるかないかだろう。
トランジスタグラマーと言われるスタイルだ。ロリ巨乳といったところか。
じろじろとその少女を見ているとまた右耳に激痛が走る。
「いててっ」
麗華が僕の右耳を引っ張っている。
「また鼻の下伸ばして」
麗華はぷんすか怒っている。
彼女がこんなに怒りっぽいとは思わなかったよ。
「ウウッ」
そのもと飛竜の少女はうめき声をあげる。
人の姿になったとはいえ、傷がつけられたままだ。
「すぐに治しますね」
ミラは駆け寄り、彼女に手を当てる。ミラの手から淡い光が発せられ、傷がみるみるうちに消えていく。
「大地母神ベラの御名においてかの者に恵みを……」
ミラは目をつむり、精神を集中させるとその傷は完全に消えてしまった。
ミラの神官としての実力は本物のようだ。回復役がいればこれからの戦いは頼りになるな。
鱗の少女は目をぱちくりとし、周囲を見渡す。首もとには細い首輪がつけられている。それはどうやら僕が書きかえた呪言が変化したもののようだ。
うーんと少女は背筋をのばす。おほっ、そのおっぱいがプルンと揺れたぞ。
「なんだか悪い夢を見た気がするわ」
はあっとあくび混じりに鱗の少女は言う。
僕と目が合うとにこりと微笑む。
「あなたがローレライの呪いを解いてくれたのね」
すくりと立ち上がると僕に抱きついた。豊満なおっぱいが顔に当たる。鱗の部分はいたいけど皮膚のところはふわふわしていて気持ちいい。
「ありがとう‼️ご主人さま。私は竜族のアヴィオール。よろしくね」
うふふっと可愛らしい顔でウインクする。
せっかくおっぱいの感触を楽しんでいたのに麗華に引きはがされてしまった。
竜族の都市ガラハット出身のアヴィオールは都市が陥落したあと、魔女王ローレライによって呪いをかけられてこの坑道の番人にさせられていたのだという。
「ご主人さまたちだけでこの都市を解放しようっていうの。なら私も手伝うわ。私をこんな狭いところに閉じ込めたあいつを許さないんだから」
僕たちアルタイルはさらに仲間を増やした。竜族のアヴィオールだ。これは頼りになる仲間だぞ。それにロリ顔に巨乳なんて。
僕たちはアヴィオールの案内で坑道を抜け、女神教会の地下に出た。
地下室から細い階段を登り、ドアをあけるとそこは広い礼拝所であった。
人の気配は感じられない。
ミラの話ではまだ太陽の女神ヒルメの加護が残っており、魔物は入ってこれないということだった。
僕はハンナさんの旦那さんが残したノートをめくる。そこには簡単な街の地図が描かれている。
「さて、その魔女王ローレライがどこにいるかだ」
僕は腕を組み、そのノートをにらむ。
「それなら向こうからあらわれるよ」
アヴィオールは言った。
アヴィオールの話では日に一度、夕暮れに街の人間一人を生け贄にする儀式があるとのことだった。その儀式に必ずローレライがあらわれるという。
どうやらそこに魔女王ローレライを討つチャンスがあるようだ。
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