第24話坑道の先に

翌朝、日の光で僕は目を覚ました。

すでに麗華が起きていて、僕におはようと言った。

目を覚ますとあの超美少女の麗華がいるなんてこんな幸せなことはない。

しかもしぼったタオルで顔をふいてくれた。

麗華は優しいな。しかも巨乳だし。


僕たちは身支度をすませ、ルイザさんの作った朝ごはんを食べた。

ジャージ村の牛乳はとても美味だった。

朝食を食べ終わった僕たちは王都の城門に向かう。

「ご武運を‼️必ず生きて帰ってきてね‼️」

ルイザは大きく手を振る。その巨乳もまた揺れていた。

僕はひそかに彼女にまた会って、手料理をたべたいので必ず帰ってきますと心のなかで約束した。


城門につくとすでに瑞白さんが馬車と共に待機していた。

「いよいよですな」

と言い、愛刀の柄をなでる。

「おはようございます。燐さま」

馬車を降りるのはアルファルドさんであった。彼女はあのメイド服のままで手に愛用の長針剣ニードルを持っていた。

「アルファルドさんはその服のままで戦うのかい」

イザールが素朴な疑問を言う。

「ええ、わたくしの正装がこの服ですから」

そう言い、綺麗な顔に笑顔を浮かべる。


「ちょっと待って‼️」

誰かが僕たちに声をかけてくる。

僕がその声のほうを振り向くとあのそばかすの少女が走ってきていた。

肩で息をしながら、彼女は僕の顔を見る。


「何のようかしら。私たちは旅を急ぐのよ」

そばかすの少女を見た麗華は氷のように冷たく言う。優しかったり冷たかったり、まるで二重人格のようだ。


「私もその旅に同行させてください。騎士さま、お願いします」

そばかすの少女は言った。

彼女を良く見るといつもの兜に革鎧ではなかった。牧師さんが着るようなデザインの服を着ている。その服の色は純白だ。

手には短槍を握りしめている。


どうやら、彼女もこの旅についていきたいようだ。でもこの旅は危険きわまりない。僕よりも若いと思われる彼女を連れていっていいものか。

そうだ、こういう時は素質ステータスを見てみよう。


神官ミラ。レベル19。

戦闘力は低いが魔力がレベルにしては高いと思われる。しかもそこそこ素早さも高い。幸運の度合いも高い。

B78、W58、H80。スタイルは発展途上かな。

うん、待てよ。神官ということは治癒魔法がつかえるのかな。


「ねえ、もしかして君は治癒魔法がつかえるのかい?」

僕は訊く。


「はい。私の名はミラと申します。魔術都市ランスロットで神学を学んでいました。大地母神ベラの治癒術を多少使えます」

ミラは言った。

レベルが低いが治癒係は必要だ。僕は彼女の同行を認めたいが麗華が不機嫌だ。どうしようかと迷っていたら瑞白さんが助け舟をだしてくれた。


「ミラ殿は未熟なれどその才はかなりのものとお見受けします。拙者が後見になる故この旅に同行されては」

瑞白さんは言った。

瑞白さんの言葉を聞き、麗華はしぶしぶ納得してくれた。

「燐さん、あんたも何かと苦労するね」

イザールがニヤニヤと笑い、僕をひじでつついた。


アルファルドさんとミラ、イザールは瑞白さんの馬車にのり移動することになった。

僕と麗華はオリオンにまたがり、まずはヨークの村を目指した。

ヨークの村で一泊し、さらに南下する。

大きく西側に迂回するとハンナさんにもらったノートにある坑道の入り口にたどり着いた。


坑道の幅は大人二人が目いっぱい手を広げたぐらいだ。中は薄暗いがところどころぼんやりと光っている。

それは坑道の作業用に植えられたという光苔という植物だとノートには書かれていた。


「植物学者」の称号を獲得しました。

あっ、また称号を得たぞ。


前衛に麗華と瑞白さん。中心は僕とミラ。後衛はイザール、アルファルドさんが守る。

僕とミラが隣になることにまた麗華が不機嫌だったが燐太郎さまを守れるのはあなただけですとアルファルドさんが説得してくれたので、どうにかこの布陣で坑道を進むことになった。


道中、敵らしい敵には遭遇しなかった。

このダンジョンの攻略は容易いのではないかと思われたが、やはりそうは問屋が下ろさないようだ。

ノートを観るとその坑道のちょうど中間地点にある、やや大きな広場の様なところにでたと思ったらギャオウアという低い鳴き声が聞こえた。


「燐太郎、何かいるよ」

麗華が警戒する。

僕たちは声の方をみる。

そこにいたのは固い鱗の生えたドラゴンであった。

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