第19話新たなる仲間

泣きつかれたリオネル王女はあの綺麗なメイドさんに連れられ、今日は自室で休むことになった。


僕たちは別の大きな部屋に案内され、そこで休むことになった。

王宮の他の部屋は傷ついた兵士たちが治療を受けていた。

僕たち三人は同じ部屋で休むことになった。

空いている部屋がないので仕方ない。

時々、傷をおった兵士たちのうめき声が聞こえてくる。


なんてことだ。


あの七人の星たちセブンスターズが失敗し、あまつさえ死者をだすなんて信じられない。

信じられないがあのいかにも強そうな本田正勝がなくなったのは紛れもない事実だ。


「ごめん、泣いている王女を見ていて黙っていられなかったんだ」

僕は麗華とイザールに言う。

妹そっくりのリオネル王女にあんな顔で泣かれたらそう言わざる終えなかった。

近衛団と七人の星たちですら失敗し、ほとんどが戦死したというのにたった三人しかいないアルタイルが交易の街ケイを取り戻すと王女に約束してしまった。


「うんうん、あそこでああ言ってくれてよかったよ。さすがは私の燐太郎だ」

うんうんと頷き、麗華はその超巨乳の前で腕を組んでいる。


「私もあの場でそう言わなかったら見損なってアルタイルを抜けてるところだったよ。偉いと思うよ、燐さん」

イザールは言う。彼女は僕のことを燐さんという。彼女なりの親愛の表現だと思う。

「でもさ、私たちたった三人だよ。それでどうやってあの魔王軍と戦おうっていうのさ」

イザールは両手を頭の後ろで組み、そう言った。


確かに彼女の言う通り、僕たちはあまりにも戦力が少なすぎる。あの女帝のあだ名を持つ麗華がいても一人でやれることには限界がある。魔王軍がどのくらいの数いるかわからないが僕たちよりは多いのは確実だ。


王女にああ言ったものの何もいい考えは浮かばない。それは学業優秀な麗華も同じようだった。

僕が頭を悩ましているとコンコンというノックの音が聞こえる。

「少しよろしいですか……」

それはあの綺麗なメイドさんの声だった。

僕はどうぞと言い、部屋のドアを開ける。


メイドさんはお邪魔しますと言い部屋にはいる。あれっ、何か手に持っているぞ。

メイドさんが手に持っているのは細長い剣であった。レイピアと呼ばれる刺突専門の剣だ。だが、なぜメイドである彼女がこんな物騒なものを持っているのだ。


「わたくし、名をアルファルドと申します。アルタイルの皆様にお願いがございます。わたくし多少ですが剣の心得がございます。できれば今回の作戦に参加させていただきたく参上いたしました」

メイドのアルファルドは言った。


剣の心得があるっていってたけどどれ程のものだろうか。試しに素質ステータスを見てみよう。


暗殺者アルファルド、レベル98。

B90、W60、H90。

へえっあのメイド服でわからなかったけどけっこうグラマーなスタイルをしているな。

いやいや、そこじゃない。

僕は自分に突っ込みをいれる。

レベル98だって。よく見ると魔力以外のパラメーターが今まで見た誰よりも突き抜けて高い。それに職業が暗殺者だって。

あんなに綺麗で優しそうな顔をしているのに。

「あっ、あんさ……」

僕が暗殺者と言おうとするとアルファルドは人差し指を立てて口にあてる。ウインクして目配せする。それは言うなという合図だろうか。

僕は言葉をごくりと飲み込んだ。

メイドで暗殺者とはかなりよくわからない人だけど彼女の強さは確実だ。


麗華もアルファルドの強さを感じとったのだろう、この人かなりできるよと言った。

強者は強者を知るということか。

アルファルドの素性はよくわからないがこれほどの強者を仲間にしない手はない。


「この人、きっと頼りになるよ」

イザールも何かを感じとったのだろう。


「わかりました、あなたを受けいれます。どうぞよろしくお願いします」

僕が言うとアルファルドは僕の手を握る。思ったよりその手は固く、手のひらはごつごつとしている。

「王女様には返しきれないご恩があります。この長針の剣ニードルであなた方と共に戦いぬく所存でございます」

長針の剣を僕に見せ、アルファルドは言った。


アルタイルに頼りになる四人目の仲間が加わった。

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