第17話 王都周辺の解放
「これは星見のばあさんが異界から来た騎士に渡してくれってたのまれたものなんだ」
イザールは言う。
最初、彼女はあの
「なんだかお高くとまってて感じわるかったわ」
とイザールは付け足した。
「こ、これは……」
僕はそのメダルを見ていった。
はやくも二つ目だ。運がいいということだろうか。
これは間違いなくステンノーが言っていた黄道十三星座のメダルの一つだ。
「王宮のエウリュアレに聞いたんだけどこのメダルを十三個集めるともとの世界に帰ることができるらしいんだ」
僕は言った。
ステンノーの名前を出すより、エウリュアレといったほうが話をスムーズにいくと思い、そうした。
「もとの世界に戻る方法があるんだ」
麗華が驚いた顔で言う。驚いた顔もかわいいな。
「あるみたいなんだ」
そう言い、僕は
「ということはあと十一個見つけなければいけないのか」
麗華が超巨乳の前で腕を組む。
「やっぱりあんたらのほうが正解だったんだね。じゃあっこいつをあげるよ」
イザールはその
「まあ、そのかわりといってはなんだが私もあんたらの旅に同行させてほしいいんだ。星見のばあさんが言うにはそのメダルを欲している人に協力しろっていうんだ。よくわからないけどね」
両手を頭の上で組み、イザールは言った。
ちらりと麗華を見ると不機嫌そうな顔をしている。
どうしようかな。
戦力は必要だし、でも麗華の機嫌をそこねるのも得策とはいえないし。
「正妻さん、おねがいだよ。星見のばあさんには世話になっててね。あの人のいうことはかなえてあげたいんだ」
イザールは言う。
孤児だったイザールはその旅芸人一座の座長であり占星術占い師であるその老人の願いはどうしてもかなえてあげたいのだという。
メダルを集めている人間に協力することがこのアヴァロンを魔王軍から解放することにつながると星見の老婆は言っていたいう。
その人物に協力して魔王軍を倒さなければ旅芸人の彼女らにとっても生きてはいけないからともイザールは言った。
正妻という言葉をきいて麗華はにやにやしだした。
「なんだわかってるじゃないの」
ふふっと笑い、いいんじゃないと麗華は言った。
僕たちアルタイルに三番目の
旅の踊り子イザール。褐色の肌を持つ、癖の強い黒髪の女の子だ。
ヨーク村の村長の依頼で近辺の村々の周囲に出没する妖魔や盗賊の討伐を依頼された。僕たちはその依頼を受けることにした。
ハンナと村長の依頼を受けた僕たちは昼食をもらった後、早速、討伐に出発した。
イザールは戦闘もうまくこなし、街道でであったゴブリンの首をその短剣で一気に引き裂き、倒すのであった。
また盗賊団に遭遇したときも臆することなく得意の短弓で盗賊の一人の目玉を矢でつらぬいた。
その間に麗華が単身、集団に斬り込み文字通り秒殺していく。
盗賊団も僕たちにとって敵ではなかった。
僕たちは数度の戦闘を経験し、どうやら周囲にあらわれる妖魔や盗賊はあらかた討伐したと思われる。
ヨークの村を拠点に戦闘を繰り返し、西のジャージー村、レスター村の解放に成功したものと思われる。
麗華も経験をつみ、さらに強くなったようだ。レベルが30にたっして戦闘力もかなり上昇していた。
すでに日数は王都キャメロンを出発して五日がすぎようといしていた。
「そろそろ一度、王都にもどってもいいんじゃないかしら」
麗華は言った。
その日も街道の警備に出立したが敵らしい敵には出会わなかった。
やはりこの周辺の妖魔や盗賊は掃討できたのだろう。
これで少しは物資が周辺の村々から王都に入りやすくなるだろう。
「街道の守護者」の称号を獲得しました。
僕はまた一つ称号を得たようだ。
「あれ、なんか飛んでくるよ」
イザールが指を空にむける。
青空に一匹の鷹が飛んでいた。
その鷹が僕たちの真上を旋回し、ゆっくりと下降し、麗華の肩に止まった。
どうやらその鷹は人になれているようだ。
「この鷹の足になにかついているよ」
麗華は言うと鷹に足についていた小さな筒をはずす。
麗華はその筒からこれまた小さな手紙を取り出す。
その手紙を僕に見せる。
アヴァロン王国の文字は読めなかったがどうやらこのオーディンの義眼ごしに見ると日本語に翻訳してくれた。
「言語学者」の称号を獲得しました。
その手紙には至急王都にもどられたしという文字がかかれていた。
手紙の差出人はエウリュアレであった。
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