第11話 初の依頼
白兎亭の名物はサンドイッチだということで僕たちはそれを頼んだ。
メニューはベーコンと野菜のサンドイッチしかできないということだった。
「他にももっとメニューはあるんだけどね、今はこれしか出せないんだよ」
白髪混じりの女店主は言った。
年齢は六十代ぐらいだろうか。
背筋がピンとのびていて、きびきびと動く姿はまるで年齢を感じさせない。
年はいっているがけっこう美人だ。
年をかさねることが決して悪いことではないというのを体現しているような人に見える。
その店主の名前をハンナといった。
彼女はなくなった夫の代わりに商人ギルドの代表もつとめているとのことだった。
「せめてヨーク村から仕入れることができたらね」
とハンナさんは言う。
僕たちの前に炭酸水を置いていく。その横に四分の一にカットされたレモンが置かれる。どうやらレモンを絞っていれて飲むようだ。レモンスカッシュといったところか。
正規軍が壊滅した今、主要な街道に魔物や盗賊が出没するようになり、貴重な物資は彼らに奪われ、さらにそれらを運ぶ人たちも殺されてしまうという有り様だった。
治安の悪化は進む一方だ。
ハンナが作ったサンドイッチはかなりの美味だった。マスタードベースのソースがピリリと刺激的でベーコンにあう。
惜しむらくはボリュームが足りないことだ。
これもやはり物資不足が原因らしい。
「ほら、マスタードが口についてるよ」
麗華が言うと、人差し指で僕の口唇のはしについているマスタードをぬぐうとなめてしまった。
「美味しい」
と麗華はつけ足す。
向かい側に椅子が空いているのに麗華は左隣に座り、僕の腕に密着してくる。
しかもまた、あの超巨乳がテーブルにのってるよ。いい眺めだ。ぼよんぼよんしている。
「騎士さま、炭酸水にレモンを絞ると美味しいよ」
右隣に座るルイザが僕の炭酸水にレモンを絞る。レモン果汁の入った炭酸水はさっぱりとしてベーコンのサンドイッチにピッタリだ。
彼女のおっぱいもまたこれ見よがしにテーブルの上の乗っている。
僕は正直、そっちのほうが料理よりも気になって仕方がない。これもまた絶景かな。
それなりに広い店内で僕はなぜかグラマー美少女と美女に挟まれていた。
二人ともくっつきすぎだよ。
ちょっと暑いぐらいだ。
それに料理を食べるたびに二人のおっぱいが肘にあたるんですけど。
それにしても二人とも柔らかいなあ。
「なあ、あんたら王宮の騎士さまなんだろ。じゃあ、一つ頼み事があるんだけどね」
エプロンで手を拭きながら、ハンナは言った。
「なんでしょうか」
あらかた食べ終えた僕はハンナに訊く。
麗華がハンカチで僕の口の周りをふいてくれる。
それを見たルイザがソースで汚れた手をふいてくれた。二人とも優しいな。女の子にこんなに優しくされたことがないので、本当に嬉しいよ。
「商人ギルドの代表として
ハンナが頭を下げて僕たちに依頼した。
「私からもお願いだよ。ただでさえ物資が足りないのにあいつらのせいで商売あがったりなんだ」
とルイザも言う。
僕は麗華の端正な白い顔を見る。
麗華の顔は改めてみるとやっぱり綺麗だな。まさに国宝に指定してもいいんじゃないかな。
麗華はこくりと頷く。
そうだ、彼女は正義の味方だ。
断るわけはない。
僕も同意見だ。
せっかく麗華が仲間になったのにこのまま無為な生活を送っている場合ではない。
麗しのの麗華と共にこの異世界で僕の好きなアニメやゲームのような冒険をしなくてはこんなところに来た意味はない。
本来ならば
その冒険者ギルドに登録するのにパーティー名が必要とのことで、麗華の提案で僕の守護星からアルタイルという名になった。
僕と麗華、たった二人のパーティー「アルタイル」の初仕事が始まったのだ。
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