72 医師には向かない人材
学力テストが終了した後、委員を決める話し合いがあった。今回は当然の流れといおうか、運動会の幹部は避けた人選にしよう、という空気があった。クラス委員は浅川と
……梅原も、運動会で何かやるのかな。メッセージでグループ作って、誰かとやりとりしてるのかな。――少しだけ、
昼休みに、3年生各クラスの運動会キャプテン4人が集まって、生徒会室でくじを引き、チームカラーが決められた。2組は青組と決まった。放課後、クラブの前に慌ただしい幹部会議があり(陽佑は危うく帰りかけて、お前も幹部だろうと
ほかの者はまだ報告できることがないので、それらを聞くだけだった。
「すごいな、みんな」
散会し、みんなクラブに下校にと行ってしまうと、陽佑は連城と並んで道を歩きながら、ため息をついた。
「ちゃんと、それぞれやるべきことを積み重ねていて、ぱっと連絡取り合って、……お前もなあ。よくあんなの考えて、まとめられるよ」
「おれひとりで考えたんじゃねーもん。衣装班何人かでな。おれが考えたやつはしょっちゅう、予算考えろ! で却下されてばっかりだった」
とほほ、と連城は力なく笑った。
「でも、そういう打ち合わせをがんがんやってたわけだろ」
「うちはそんなにたいへんでもない、堀川にくらべりゃーな。それに、全部束ねる土田とか葉山の立場なんてよ、もーもーもー」
おれ絶対無理、と連城は首を振る。
「俺も無理だ。やっぱり、3年生って立場だと、みんな気合違うのかな」
「まー、そーだろーな」
「土田なんて、バスケ部の主将やってて、まだブロック大会の試合もあるのにな。大活躍だ。……俺の出る幕なんて、あんのかな」
苦笑する陽佑を、連城はしばらく見ていたが、少し口調を改めた。
「夏休みの終わりくらいに、土田から幹部にメッセージ来たんだ。
「……買いかぶりすぎじゃないかな。あのジェイバーガーで話したときって、土田よっぽど弱ってたのかな」
「自分はあくまで顔であって、心臓がないと困るんだって、土田言ってたぜ」
「……………………」
心臓。
昨日もそんなこと言ってたな、土田。
「いや、わかるんだ。……あいつ、こうも言ってた。去年、桑谷が生徒総会で演説したあたりから、このクラスが一体化し始めたって。打ち上げやろうとか、
「……ああ、ま、そういえば」
クラスが一体化云々については、ただのタイミングの問題だという気もする。合唱大会もあったことだし。
「誰も反対しなかったよ。ていうか、みんなすぐ賛成した。確かにあいつはいてほしいな、って」
「……俺、特技なんて別にないけど」
「なあ桑谷、心臓ってやつは、動こうと考えて動いてるわけじゃねーんだよ。動いてる状態が、心臓にとっては普通なんだ。それが、ハタから見るとすげーとこなんだ」
「…………?」
なんだかよくわからない。
――どうやら俺を心臓に例えたいみたいだけど、今のところ何をどうすればいいのかぴんときてない状態の俺は、心臓としては役立たずじゃないのか。全身に
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