61 長いお別れ
学年最後の行事となる球技大会で、2年2組はなかなかの団結を見せた。バレー部主将の
2年生ともなると、クラスの雰囲気も1年の頃よりずっとこなれている。
期末試験を挟み、3年生の送別会と卒業式も、もう陽佑には手慣れたものだった。ああ、こうだったっけ、と忘れていた細部はあったにせよ。福田、市川、
……そうして3年生が一気にいなくなると、2年生の教室には硬く骨っぽい空気が音もなく横たわった。名実ともに、彼らが最上級生になった瞬間だった。1年後、自分たちも卒業する。その前に、受験が待ち構えているのだ。目をそむけたいがそむけられない現実が、ゆっくりと姿を現しつつある。
そしてもうひとつ、衝撃的なニュースがもたらされた。あの
……ある週末、陽佑は
修了式と退任式が終わると、2年2組の生徒の大多数が、学校に近いジェイバーガーの2階席に集合して、城之内と最後の時間を楽しんだ。意外なことに、2学期に体育委員をしていた女子の田村が号泣し、そうだったのかと全員をしんみりさせていた。終始明るかった城之内も、彼女のそんな姿に少し涙ぐんで、後で連絡先を交換しようと持ちかけていた。
こうして、仲間がひとり、去って行った。とても大きなものを持ち去ってしまった。入れ違うように、春が近づいていた。硬く、冷たく、厳しい春が。
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