08 中間試験
中学校に入って最初の定期試験、中間試験がやってきた。
入学当初は出席番号順の座席についていたが、5月以降は毎月最初にくじ引きによって席替えが行われることになった。したがって、連休も明けた現在は神さまの気まぐれと運による並び順になっている。しかし試験だけは、答案用紙回収の都合上、各人の机と椅子はそのままで、座る人間だけが出席番号順の席次に戻ることにされていた。
緊張と沈黙の中で行われる試験。反動で、休み時間の騒がしいこと。公式や年号や用語の暗記。友人同士で問題の出し合い。全然勉強してないアピール。そもそも今このタイミングで暗記を増やそうとするのが悪あがきなのだが、当事者たちは必死である。例外は、席でうとうとする
たいして緊張しなかった
試験が終了したので、休止していたクラブ活動が、この日の放課後からさっそく再開となった。心なしか、クラブに向かう生徒たちが生き生きしているように見える。押さえつけられていたものが反動ではじけているようだ。
「元気だな」
「まったくだ。おれにはもうそんなエネルギーねえ」
陽佑と
……結果は数日後に配布された。陽佑の総合順位は学年で46位とある。覚悟していたよりはよかったので、ひとまず胸をなでおろした。しかし……思ったよりはよかったが、いい成績だったと威張れるほどの順位でもない。やっぱり地味だな俺って、と陽佑はしみじみ思った。内容も大事である。得意の数学では、これも覚悟していたように、計算ミスがぽろぽろあった。理数系はまだいいが、国語とか英語は、ちょっとうーん、といったところだ。
1位から20位までは個人名が廊下の壁に貼り出しで公表された。2組で総合の最高位を叩きだしたのは、2位の
「いいじゃねーか、お前らは」
総合も科目別も、すべての結果で潜水状態に終わった連城は、帰路でがっくりしたままである。総合順位104位。一番良かったのが理科の25位、らしい。理科だけの勝負なら陽佑が負けている。
「期末試験はまた変わるだろうよ」
慰めるつもりでもないのだが、陽佑はそう言うしかなかった。そもそも連城の得意な科目は家庭科、それも被服である。家庭科の試験が実施されない中間試験では分が悪いというものだ。
……梅原って、総合、どのくらいなんだろう。
ちらっと気になって、陽佑は頭の中を腕でごしごしこすって消した。
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