深淵からの招待

 ドラゴが危険を冒して持ち帰ったデータ、それをアビス側に照合させた結果、返答が来た。

 一〇〇年以上前に消息を断った、違法研究者集団が最後に公開した技術理論に近い、とのことだった。

 次元飛翔によるジャンプ技術や、戦闘・攻撃技術への転用、他にも数々の高い技術理論を持っていたそうだ。

 しかしその研究者集団の長は相当に偏屈だったそうで、人命より技術を優先する、資金が必要なら強盗すらも働くというもので、当然海賊の指定を宇宙警察などから手配されていたとのこと。

 この広い宇宙では時効こそないものの、消息を断って久しい案件だ。

 『どこかで力を蓄えて喧嘩を売ったのかもしれないが、統治に対する邪魔者は叩き潰す』

 アビスは超光速通信でそう伝えて来た。

 実際に、アビスの艦隊が近づいているとのことだ。

 麾下きかの軍隊ではなく、アビスが直接指揮するという、ある種の超越的な部隊が来るとのことだった。

『アビス、あの女王からコンタクトが来ました。通話を行いたいとのことです』

 ドラグーンがドラゴに伝えてくる。

「……。いつだ?」

『現地に到着し次第すぐにでも、と

 返答があるならば、配下のステーションでの弾薬類の補充は無料だとのことです』

「まあ、例の女王様からすれば、それくらいは容易いだろうな。

 ただの情報収集だろう、緊張しないといえば、嘘になるが……それにしても、直接傭兵に、か。

 よほど事態を重く見ているようだな」

『まだここは辺境です。増援の前に、またしても敵が来るかどうかはわかりませんのでいつでも出られるように休憩を常に取っていてください』

「ああ、わかったよ」

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