深淵との接触
観測ビーコンやドローンが示す通り、超光速移動を補助するワープゲートによらない、宇宙艦船そのものによるワープドライブを起動した痕跡などがあった。
こういう機動では、際限なくワープできるものではないはずで、明らかに近くにいる。
何よりも、敵の目的はこちら側への侵略のはずだろう。
ドラゴとドラグーンは
ビット兵器を分散配置。索敵を実行中。
僅かな
一隻の敵インベーダーを捕捉。
「ビットを移動させました。同時に味方艦隊に入電中……」
「戦闘開始だ。防御を最優先だが、逃げはしない」
「ラジャー。『黒曜石』への防御を優先します、重力バリアは既に展開済み」
艦船の防御性能はいろいろあるが、重力のバリア、シールドは高度な技術で、突破は困難だ。
これまでに破壊されたアビス艦隊などはほぼすべてが一般的な、電磁防壁を搭載したものだが、これではほぼ対処できないことがわかっている。
生き残ったのは、予備兵力として保存してあった。遮蔽中の艦船のみくらいだろう。
射程距離、ないし交戦距離も不明だが、まともに狙いを定める前から一方的に撃たれ――『黒曜石』によって切断されて沈められたらしい。
「敵船をワープ妨害にかけました。自他の座標を
ビットは予想以上に容易く、相手を罠にかけたのだが……。
「接近しろ」
「敵艦は距離を取っています」
「逃がすなよ!」
「ネガティブ。ビットが落とされています」
「まあ、探知そのものは簡単だろう。問題は、謎の精密さだ」
ビット兵器は敵船を高速回遊している。並のミサイルくらいなら一時的に遮蔽して照準から逃げることもできる。
定期的に遮蔽させては、解除。ワープ妨害のONを繰り返しを複数のビットで交代で行っているのだが、敵は精密な狙撃が可能らしい。
「奇妙です、ビットが落とされるたびに、ワープドライブの起動が読み取れます」
「実際にはあの流線型は一切ワープしていない。考えられる可能性は何だ?」
「次元への干渉です」
「黒曜石の正体か」
「おそらく、座標さえ確定してしまえば距離と、通常の防御兵装を無視しての攻撃が可能です」
しれっと、とんでもないことを言う。どういう方程式からの見立てかは不明だが、少なくともAIドラグーンはそう類推してみせた。
「なんだと!?」
「撤退ワープシークエンス完了。ワープドライブを起動します」
ドラグーンが、撤退をし始めていた。次元が
「ドローンは置き去りか。久しぶりだな」
「こちらが真っ二つになる可能性よりは、良いでしょう」
ドラグーンが
『黒曜石』がぶつかり、空間が切断される。
非物質的な刀剣。
次元の刃の襲来だった。
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