53 聖騎士
「誰か朧を助けて!」
白夜が絶叫すると、世界が閃光の中にあった。
彼は、源白夜は立っている。鎧もなにもなくかつての学生服姿で、一人の女性の前に。
金と白金の神を持つ美しい女性だった。だが彼女は辛そうな、何かに耐えるような表情をしている。
「私を呼んだのはお前か? 異世界人よ」
白人女性は、体にぴったりとした純白の薄衣一枚で彼を見下ろしていて、どうしてか白夜は、彼女に頼るしかないとはっきりと感じた。
「朧を助けて下さい、何でもします……あなたはずっと見ていたはずだ」
言葉は自然と出てくる。
「その通り、私は……我等はずっと見てきた。そして力を貸してきた……使えたろう? 神々に仕える聖職者達も魔法が……だが、あるいは汝の敵の言うとおりなのだ。今私に助けを請うと、汝達の辛苦はさらに続く。さらに辛い出来事に直面する、汝はそれに耐えられるのか? その道を進めるのか? ……諦めるであろう?」
考えるまでもなかった。
「進みます、それを選びます。決して諦めません……僕は『選ばれし者』ではない『選ぶ者』だ」
「『選んだ』故に後悔することもあるのだぞ」
「後悔なんてしません、彼女を助けるためなら! それに……あなただって真実の声には力を貸してくれる、だからこうして僕の目の前にいる」
光のように美しい女性の憂い顔に笑みが閃いた。
「まさか、汝達異世界人が失われた信仰を取り戻すとはな。……よいか聞きそして伝えよ少年よ、我等は人間族もエルフ族もドワーフ族も誰も見放していない、汝達が我等を見限ったのだ……古代魔法帝国はあまりにも傲慢だった、だから自ら滅びたのだ。汝達はそれを勝手に神々のせいにして背を向けた。だが我等はまだ汝達を待っていると」
いつの間にか女性の手に光り輝く剣があった。
白夜は知っている。この後どうするか……彼は跪き頭を垂れた。
女性はその肩に剣をそっと当てる。
「我、光の女神・アーシュ=リアの名において、汝を聖騎士に叙する」
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