27 夜襲

 力角拓也はその話題の半分も判らなかった。だから彼等が話している間、気に入ってきた鋼のウォーハンマーを布で磨いていた。

 ふと彼は何かの気配に目を上げる。美しいエルフの男アンデレの目があった。

 人見知りな力角は赤面しすぐ目をそらして敢えてウォーハンマーをじっと見つめた。

 しかし、何かの違和感が彼の脳裏をかすめた。


 その夜、本田繋は襲われた。

 三年四組の男子達と、事実を知り俯くウブな乙女達とウブな力角以外に、だ。 

「なんだよ、いきなり」

「本田君、あなたが不純異性交遊をしているとみんな知っているのよ。覚悟なさい、ふふふ、罪には罰よ、うふふふふ」

 准は不気味に笑う真田を横にどかすと、小早川と深紅に腕を掴まれている彼の前に顔を近づける。

「お前、避妊はしているよな?」

「は? 何のことだ」本田の目が判りやすく泳いだ。

「あのなあ、お前とカティア姫のことだがシャーニナ陛下にバレてるぞ」

「ええ!」

「だけど子供はダメだって……ダメだぞ」青ざめた本田に准が釘を刺す。

「ねえ、本田」

 小西歌がいつもとは違い真面目な顔つきになる。

「避妊している? マジで、これは女の子にとって大事なことだよ」

 らららの口調が真剣だから、本田は頷いた。

「あ、ああ、最初の日にカティアが避妊具持ってきた」

「この時代の避妊具? ね、ね、どーいうの?」

 成田が興味津々に訊ねると、「ええと布で出来た、あの部分を覆う袋」完全に観念した本田は素直に答えた。

「ならいーか」

 准の目配せにより、本田は解放される。

「でも、妊娠には気をつけろよ、事によっては首が飛ぶぞ」

 准の脅しに本田は珍しく震えていた。


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