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「はは。公務員は、ウニとか魚とかの、」
ロウが笑いながら補足している。
「ウニ、」
「で、ウニ泥棒の監視がてら、いつもオレの仕事につきあって探偵さんをしてくれる」
「はぁ、ウニ…」
探偵はどうでもよくなったらしい。
「なになになにぃ!」
「わっ、」
「きょうはやけにかわいらしいご依頼主様じゃなぁい!」
朧月が調子良く軽口を叩いているとオーナー…和さんが愉快そうによってきた。
博士少、青年が弾かれたみたいに椅子から立ち上がる。
「あ! はじめまして! 来週から北山さんとルームシェアすることになりました、小山博士といいます! よろしくお願いします!」
いや、まだルームメイト『候補』なんだけど?
表情のころころ変わる小さなアルピニストとレジェンドサーファーとのsea to summit 対談を、複雑な気持ちで眺める。
論文をそっと、片づける。なにに対してか、頭の中で警鐘が鳴る。
「なんでも好きなの食べていきなよ! はじめまして祝いだ! 先生の奢りね!」
オーナーはひとしきりSUPやらサーフィンやらのはなしをすると、シャカをつくってそう別のテーブルへ移っていってしまった。
「あれ? 朧月さんは、」
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