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 「ワトソンくん…小林少年だな!」


 楽しそうに朧月がはなすのに、博士少年は…いや、青年は恐縮した様子で、足してもらった椅子でちんまりと小さくなっている。


 「ご期待に、添えませんでしたか?」

 おずおずと、斜め前に座るオレを上目で見上げてくる。ただでさえ九も下。

 しかも、見たくれは…


 マッシュボブにふんわり刈られた栗色の髪。蜂蜜色の肌は緊張ですうっすら紅く染まっている。無垢な丸い目は海を映してマンガみたいにキラキラだ。そして、いつ成長がとまってしまったのだろうかという小柄な体躯。


 …ガキだろう…


 肩を落とす。


 「大丈夫! 博士くん」

 朧月が笑って少年の肩を抱く。で、

 「こいつの期待に添うやつなんてそもそもいないから。ホームズからワトソンを取り上げてこない限り!」

 なんていいだすから、

 「探偵さんなんですか⁉︎」

 丸い目をさらに丸くして見上げてくる。

 「公務員」

 「公務員、で、探偵さん?」

 興味津々、て、その目を軽く流そうとするのに…彼は一瞬のすきをついて机の端にやった論文にすばやく視線を走らせた。


 頭がいい子、てのは嘘じゃないらしい。

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