7

 冷たいニンゲンだという自覚は、ある。


 冷たいニンゲンになろうとしてなったのだから、当然だった。


 笑顔がかわいいいたいけなオレに、雪の女王が降臨したのは十六年前。


 クリスマスを境にプッツリ、気持ちも表情も凍りついて、いくど春が来ても融けることがなかった。


 もとが淡白なつくりの顔立ちに表情がまったくないから、もう、だれも近づかなくなっていた。


 けれど、いいんだ、それで。

 ひとりになりたくてなったのだ。ひとりを許してくれるロウやカフェに集まる彼らは別として、朧月以外のワトソンくんなんて必要ない。相棒がほしいんじゃない。


 それなのにロウは、口の端だけで小さく笑う。

 「せいぜいがんばりたまえ、ホームズくん」

 「なに? がんばれって、」


 いやな予感がする。


 「あ、ほら、おいでになりましたよ」

 「え?」

 ロウにつられてカフェの入り口に目を向ける。

 にわかに賑わってきたカフェの入り口には席の案内を待つカップルや家族連れ。と、学校が休みなのかその子どもたち。


 「ロウ?」

 わからない。そう、ロウに視線を戻そうとして、


 「あ!」

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