7
冷たいニンゲンだという自覚は、ある。
冷たいニンゲンになろうとしてなったのだから、当然だった。
笑顔がかわいいいたいけなオレに、雪の女王が降臨したのは十六年前。
クリスマスを境にプッツリ、気持ちも表情も凍りついて、いくど春が来ても融けることがなかった。
もとが淡白なつくりの顔立ちに表情がまったくないから、もう、だれも近づかなくなっていた。
けれど、いいんだ、それで。
ひとりになりたくてなったのだ。ひとりを許してくれるロウやカフェに集まる彼らは別として、朧月以外のワトソンくんなんて必要ない。相棒がほしいんじゃない。
それなのにロウは、口の端だけで小さく笑う。
「せいぜいがんばりたまえ、ホームズくん」
「なに? がんばれって、」
いやな予感がする。
「あ、ほら、おいでになりましたよ」
「え?」
ロウにつられてカフェの入り口に目を向ける。
にわかに賑わってきたカフェの入り口には席の案内を待つカップルや家族連れ。と、学校が休みなのかその子どもたち。
「ロウ?」
わからない。そう、ロウに視線を戻そうとして、
「あ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます