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 腕時計を確認する。もう十時近い。随分な急展開だ。


 「小山博士くん。後輩の知り合いでさ。教員志望の二十四歳!」

 「十も下か」

 歳を聞いて、思わずチラリ、不満がでてしまう。

 若い子は面倒だな、と、職場の後輩を見て思っていた。向こうから見ればオレが面倒なんだろうけど。

 「九、な?」


 細かい。


 「歳なんて社会にでちゃえば関係ないだろ?」

 「え、そうかな」

 「頭のいい子だよ。夏休み明けからこっちの学校で臨時の先生をやるんだって」


 しかも流した。


「引っ越しはまだゆっくりと思ってたみたいなんだけどさ、海の近くだからっていてもたってもいられなかったみたいでさ」


 え、海近だから? ガキなのか? あ、いや、そうは限らないか。


 現に海にはしゃいでいるレジェンドたちを尻目に考えなおす。


 「心配があるとすればですよ、」

 「えぇ…?」


 いかにも深刻、というようにロウが首をふるのに、不満が不安に変わる。


 「冷血で無愛想なホームズくんに、かわいいワトソンくんが早々に愛想を尽かしてでていかないか、」

 「冷血でも無愛想でも、」


 ない、


 チラリ、ロウが上目でこちらを窺う。


 …と、ゆうこともない…


 オレはなにも返すことができず口を噤んだ。

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