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 そうなのだ。


 唯一の友人、朧月は、なんとある日突然婚約を宣言し、あと一年で十五周年を迎えるはずだった大学からのルームシェアをあっさり解消したのだった。


 「見つかったの?」

 思わず身をのりだす。

 (とはいえそこはやっぱり親友で、周到に次のルームメイトを探してくれていた。どうやらそれも彼の結婚準備リストに入っていたようで、彼が部屋をでていってまだ一週間と経っていないのに、候補を見つけてきたらしい)

 「素直に感謝してくれていいぜ?」

 「ありがとう、マフィン奢るよ」

 素直に感謝した。

 いまの間取りは古いつくりの2LDKで、社会人となったいまでは家賃が払えないほど高いとゆうのでもないけれど、スカスカした感は否めなかった。そしてそのスカスカした感が、どうにもなぜかこの数日ひどく身体にこたえていた。


 「新しい子に奢ってあげてよ。部屋を見たいからって、十時にここで約束してる。悪いな、曜日合わせてもらって。有給使っちまっただろ?」

 「日曜勤務の日を交代してもらっただけだよ、問題ない。けど、」

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