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頬杖なんてついてニヤリ、口の端だけ上げて悪そうに笑う。目尻がたれたうろんげな、そのくせ警察官特有の鋭く光る目を細めてこちらを上目に見上げてくる。
ジュンちゃんに「お巡りさんて、ヤッバイよね!」とかいわせるワルイオトコの笑みだ。
それをオレに向けるんだから無自覚だろうけど、オレが女の子だったらきっと陥ちてる。
「例の件ですが、」
「ビールにしたら?」
「いや、大丈夫。車だし。で、お前の探してた、アパートのルームシェア、さ、」
そう、オレの目を窺うように覗き込んでくる。ロウは大切な話をするとき、いつもこうやって目を覗き込んでくる。
息するみたいに目を逸らす。
ロウがこうして、目を見てはなしてくれるのに、悲しいことに、オレは彼の目を(だれが相手でも、なんだけど、)見てはなしを聴くことができない。
『お前の目は、黒耀石みたいだ』
朧月はよくそういっていた。
キレイな目だとか、褒めてくれているのかと思っていたのに…目にさえ感情が映らない、と、心配しているんだとさいきん知った。
それでも彼は、目を逸らしたりなんかしないで、はなしをつづけてくれる。
「青、オレが結婚してでてくって、家賃がひとりじゃバカにならないっていってたろ?」
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