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 ほんじつ、休暇の彼はinspのシャツにハーフパンツ、足元は夏色のビーチサンダル。健康的に焼けた、細い割にしっかり筋肉のついた体躯の彼によく似合っている。


 ふわり、一年越し、ココナッツの香りが鼻を掠める。彼がこの香りを身に纏うと、夏のはじまりだ。


 「あ、ジュンちゃん、オレ、ジンジャーエール!」

 ご機嫌に加えていつだってなにかが楽しくて仕方ないって陽気な彼が、いつもの何割か増しに陽気な様子で店の女の子に声をかけている。と、

 「ちょっとお巡りさん! 休みくらいビールいこうよ! ビール!」

 オーナーが笑いながらチャチャを入れてくる。ちなみに警察官の朧月はここではお巡りさんと呼ばれている。

 「ありがとうございます。いつなんどき、なにがあるかわからないんで…」「呑んじまえばこっちのもんよ! ここは逗子だよ?」「はは、新逗子署だってちゃんとはたらいてますよ。こないだだって小坪で、」


 漁港にここさいきん出没しているらしい密漁者についてオーナーとひとしきり情報交換をすると、


 「で、」


 やっと、愉快そうな笑顔をオレに向けてきた。

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