第8話 新たに判明したことから分かること
2022年5月29日に、新たに人骨のような骨が一つ見つかったと警察発表があった。
そして、5月31日に、さらに四個の骨が発見されたと報道があった。
6月1日には、それらの骨七個の内(5月26日などにも骨が見つかっているため、特定されていなかった骨の合計は七となる)、六個の骨が人骨だと特定されたと警察が会見を開き報道された。
六個の骨の部位は、肋骨、腕、足であった。
また、6月1日の会見では、5月4日に肩甲骨とともに発見された黒いシャツに付着していた土から、数ミリの骨のかけらが三つ発見されていて、それらは人の骨盤の一部と指の骨であることが判明していたそうだ。
六個の骨は、まだ美咲ちゃんの骨だと断定されてはいないが、黒いシャツから見つかった数ミリの骨のかけらは、美咲ちゃんのものと判断して良さそうだ。
黒いシャツは肩甲骨とともに発見されていて、その肩甲骨から採取したDNAから美咲ちゃんが死亡していると断定されたことから、同じ黒いシャツに付着していた土に含まれていた骨のかけらが人骨である以上、まず間違いなく美咲ちゃんのものであろう。
以上が、新たに判明したことだ。
これまで私は、
「肩甲骨と一緒に黒いシャツが見つかっているのに、腐食した痕跡が黒いシャツに見られないのは不自然だ」
と書いてきた。
前話でも説明した通り、繊維は腐食した遺体の痕跡を残しやすい。
リーゼント刑事で有名な秋山博康氏もその点を指摘しており、衣服が見つかることが死因判明の材料として大きいので、衣服の発見こそが真相解明の手掛かりになると言っておられた。
しかし、黒いシャツに付着した土から骨のかけらが見つかっても、黒いシャツ自体には腐食した肉体の痕跡は見られない。
つまり、ご遺体が腐敗していく段階で黒いシャツとご遺体は一緒にはなかったのに、肩甲骨や骨のかけらはいつの間にか黒いシャツと同じところに存在していたことになる。
これ、どう見ても、不自然さが増したとは思わないだろうか?
肩甲骨が一つだけ黒いシャツと一緒にあったのなら、万に一つの偶然も考えられるだろう。
例えば、好奇心旺盛な動物が、同じ匂いのする黒いシャツと骨を離れた場所から一緒のところに置いたような、わずかな可能性もなくはない。
しかし、付着した土から骨のかけらも見つかっている以上、その可能性の低い仮説も否定されたと言って良い。
何故か……。
いくら好奇心旺盛な動物でも、指や胎盤の骨のかけらまで、集めて持ってくる訳がないからだ。
それらすべてを黒いシャツに集めたと考えるのは、不自然を通り越して、有り得ないとしか言いようがない。
人間が、意図的に黒いシャツと一緒に白骨化した肩甲骨や骨のかけらを遺棄した(骨のかけらの方は、遺棄した段階でかけら状になっていたか、それとも骨としてあったのがかけら状になったのかは不明だが……)。
そう考えるより、他に可能性はないのではないだろうか?
警察は、きっともっと詳しい情報を持っているはずである。
黒いシャツと肩甲骨発見から約一か月が経ち、ようやくシャツに付着した土の中の骨のかけらを発表したところを見ても、これは明らかだろう。
それに、頭骨の発見から一か月以上が経つと言うのに、警察が変わらず40人体制で捜査に当たっているところを見ても、事件の確証があるとしか思えない。
2019年9月からの美咲ちゃんの捜索が約一か月で打ち切られたことからしても、事件性がなかったら捜査の規模を縮小させるはずだから……。
いよいよ事件の可能性が高くなった……。
そう断言して差し支えないと思うがいかがだろうか?
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