第164話 幾ら渡せば
お父様、お母様、私は今幸せです。
◆
「うーん、良さげなのは無さそうですね」
ご主人様の通っている学園は本日と明日は休日である為、私フレイムは冒険者として久しぶりに冒険者ギルドにて塩漬けされた討伐依頼かつ報酬の良い物を探しているのだが、ご主人様がいた領地にある冒険者ギルドと違って塩漬けされ中に報酬が良い討伐依頼は殆ど無かった。
あったとしても眉唾ものな内容である為、その場合はその討伐依頼内容が本当に正しいのかという検証からしなくてはならない。
その為報酬がいくら良くても効率は悪いので他のそこそこの依頼ランクの高い討伐依頼を二つこなしてきた方が手間も少なく報酬も多い。
故に塩漬けにになるのだろうが、逆に言えばそういう物しか残っていないという事は流石帝都。 冒険者ランクの高い物たちが多く、ご主人様の領地では塩漬けになりやすい高ランクの討伐依頼でもこなせる者がそこそこいるのだろう。
それは帝都にとっては良いことなのかも知れないのだが、これでは中途半端なランクかつ面倒臭い魔物の討伐依頼をするしかないではないか。
ちなみに討伐するのが面倒臭いというのは何も魔物を倒すのが面倒臭いという以外に沼地や標高の高い山岳地帯の為そもそもその場所自体に行きたくないという理由の場合もある。
しかしながら今ある塩漬けされている根も歯もないような内容の討伐依頼よりも、多少面倒臭いクエストを二つこなしてきた方が幾分マシであるのは先程説明した通りまだマシであるため素材集による湿地帯に住むキングボアの討伐と鬼蛙の討伐を取ろうと手を伸ばしたその時、とある依頼に目につく。
そして私はその目に入った依頼内容を掲示板から剥すと受付まで持っていく。
「おい、あれ見ろよ」
「ドラゴノイド……だと? し、しかもメイド服……どういうプレイをしているんだ、いったい?」
「そもそもドラゴノイドの種族、しかもあそこまで美人なドラゴノイドの女性をメイドにするにはいったい幾ら渡せば雇えるのだろうか?」
そんな会話がそこかしこから聞こえてくるので『実は私はご主人様のメイドではなくて奴隷なのですっ!!』と自慢したくなるのをグッと我慢する。
ここで自慢した所でご主人様に迷惑をかけてしまう可能性があるのならば言わない方が良いだろう。
昔ご主人様の実家があるタリム領にあるギルドにて私がご主人様の奴隷であると知ってご主人様の元まで突撃しに来たふとどき者を思い出す。
「はい、確かに受理いたしました。 幸運を祈っております」
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