第165話 燃やしますよ
そして私はそんな懐かしい思い出を思い出しながらとある依頼を一枚剥すと受付へと持っていく。
あの時は既に私は冒険者としてメキメキと実力をつけてきており、相手の実力も測れないようなチンピラなどには束になって来られても負けない自信があったのだが、そんな事などご主人様は知っているであろう前に出て私を後ろに隠してコテンパンにやっつけてもらった事を昨日の事のように思い出す。
あの日は私の人生の中で上位に入る程の嬉しい出来事である為忘れるなどという事は無い。
ちなみに一番嬉しかった事は当然出来損ない、ドラゴノイドの恥だと言われて捨てられた私を拾ってくれただけではなく、私の可能性を信じて数年間ものあいだ看病してくださったあの日々である。
あの頃の私はご主人様に拾われるまでは死にたいと毎日思っていたし、ご主人様に拾われてからは回復魔術をかけないでほしい、早く死なせてほしいと思っていた程である。
それでもご主人様は毎日毎日私の事を看病してくださった日々は、私にとって大切な宝物である。
「ちょっと待ちな」
そして私はその流れでご主人様と過ごした数年間もの大切な思い出を振り返りながら先程受注した依頼を早速終わらしに行こうと帝都のギルドから出ようとしたその時、複数人の大男に出入り口を塞がれるではないか。
「何でしょうか? 私はご主人様の休日中にはこの依頼を終わらしたいので早く依頼に取り掛かりたいのですが?」
「だったら尚更君にとって悪い話じゃぁないぜ?」
「……? どういう事でしょうか? 既に邪魔でしかないのですが? これ以上邪魔するんでしたら燃やしますよ?」
「まぁそう警戒するなよ。 俺たちは何も君の邪魔をしようというわけではないんだからさぁ。 むしろ君を手伝ってあげるって言っているんだ。 さっき君が受けた依頼のランクは確かAランクだったよな? 流石にAランクともあると一人では無理だろ。 どういう作戦を考えているのか分からないのだが、この冒険者ランクCランクである俺たちと一緒に行った方が一人で行くよりも早く終わるだろうことは子供にだって分かるだろう?」
「結構です。 むしろ邪魔にしかなりませんのでお引き取りください」
そして私は『あぁ、やっぱりか』と思う。 冒険者というのは場所が変わってもあまり変わらないのだな、と少しだけ辟易してしまう。
「おいっ! 俺たちが下手に出ているからと言って調子にの乗ってると痛い目みるぜ?」
「では、私からも一言。 私が下手に出ているからと言って調子に乗っていますと頭を燃やしますよ?
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