第163話 運命と言わざるを得ない。
まだなんかリーリャが呟いているのだが俺とオリヴィアはそれを無視して互いにペコペコと頭を下げながら今回の一件の落とし所を探す。
今回に関してはこちら側が謝罪をするべきだろうが、先に突っかかって来たのは向こうでる為互いに後ろめたさがある故に有耶無耶にしてしまおうという空気が互いから感じとれる。
そして、俺から降りた後も普通に立っているリーリャの姿をみてこれならどこも悪い箇所はないだろうと一安心する。
怪我をしていないのならば互いに軽く謝罪をするだけでよさそうだ。
◆
私は昔から親の方針で武術と魔術の稽古を受けていた。
そこに女性だから止めよう、女性だから武術や魔術の稽古よりも花嫁修行をしようという考えは一切なかった。
小さい頃はそんな家が嫌で嫌で仕方なかったし、いつも寝る時にお母様が読んでくれていた御伽噺の絵本に出てくるお姫様のように私もいつか私だけの王子様が現れて恋をするのだろうと漠然と思っていたりした。
しかしながらそれも所詮は子供が描く絵空事だという事に、流石に十二歳を超えるあたりで気付き始め、代わりに今まで武術の魔術の稽古をしてくれた事に感謝するようになった。
その一番の要因はやはり中等部生徒会長であるオリヴィア様に出会ったというのがかなり大きかった。
今まで武術と魔術を稽古してくれたからこそ、私はオリヴィア様の隣に立つ事ができたのだから私が女性だからと手を抜かず厳しく鍛えてくれたお父様には今でこそ感謝している。
そんな時に私は出会ってしまったのだ。
もはやこれは運命と言わざるを得ない。
だって王子様はいつだってピンチの時に、時に身体を張って助けに来てくれるのだ。
そう、先ほど突風で飛ばされた私を身体を張って助けてくれたローレンス様のように。
しかもローレンス様は私を助けるだけではなく、私を女性扱いしてくれただけでなく傷の手当てまでしてくれたのだ。
そもそも私の事を女性扱いしてくれた者はお母様を除けばローレンス様が初めてであり、ローレンス様が私の事を女性として扱い、気遣ってくれる度に下腹部がキュンキュンしてしまうではないか。
こんな身体の反応は生まれて初めてなのだが、これこそが初恋であると流石の私でも分かる。
しかしながらようやっと私の王子様に出会えたというのに私のローレンス様は学年が違うため当然クラスも教室がある場所も違う為なかなか会えないのだが、むしろそれが愛の試練のようで逆に燃えてくるというものである。
兎にも角にも、両親には今、私はこの学園生活は最高の学園生活であると胸を張って言えるのは間違いが無いと言えよう。
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