第148話 そういう人種
そして今にも倒れそうなアーロン先生は生徒たちにバレないようにグラウンドの端、生徒たちの後ろ側まで歩いて行くと、グラウンドとその他を区切っている木でできた柵にさりげなく腰を下ろして座り、そして左手の掌を内側にして腕を組む事によってバレないようにするだけではなく、光が漏れないように力を抑えて回復魔術を行使しているのが見える。
その姿はぱっと見腕を組んで立っているように見えるのだが、むしろそこまでしないと倒れてしまいそうなほどフランの一撃でダメージを食らっているというわけでもあるのでプライドとかドブに捨てて今すぐにでも保険医か誰かに診てもらった方が良いのでは? そもそも武術の講師というのであればこういう時こそ大丈夫だと自己判断で放置したり痩せ我慢はせずに専門の回復術師などにしっかりと診てもらうようにと言うべきではないのか? とつい思ってしまう。
「良いかお前たちっ!! 手合わせによって変なところにダメージを受けた場合、自分で『このくらいは大丈夫だ』と自己判断はせずにちゃんと保険医の先生に診てもらうようにっ!!」
そしてアーロン先生が、まるで俺の思考を覗き見しているのでは? と思ってしまいそうになるタイミングでそんな事を宣うではないか。
そのアーロン先生の言葉を聞いて『いや、お前だよっ!!』とツッコんでしまいそうになるのをなんとか堪える事ができた俺を誰か褒めてほしい。
おそらくアーロン先生は自分がフランの技を食らって痩せ我慢をしている現状によって『このくらい大丈夫という判断は危険である』という事を伝え忘れていた事に気づいて生徒たちにその事を伝えたのであろう。
そしてそれと共にアーロン先生は命よりもプライドを取る
前世でも謝れば済むことだというのにプライドが邪魔して謝る事ができずに自分の立場をどんどん悪くしていっている
それで翌日、実はフランの一撃で内出血が起きており、死亡しましたとか、死亡するまではなくともどこかしらの骨が折れており、隠れて回復魔術を使っていたせいで変な形で骨が繋がってしまったとしてもそれはアーロン先生の自業自得だろう。
帝国国軍の元帥まで上り詰めたお方なのでそのデメリットは分かっているだろうしね。
「では、次の手合わせはスフィアとローレンスのペアにやってもらおうかっ!! 両名、グラウンドの中央へっ!!」
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