第145話 エロで仲良くなるもの

 しかしながら逆に考えれば俺の予想は当たっていたという事であり、やっぱりダミアンもなんだかんだで年頃の男の子だったという事だろう。


 うむ、分かるぞダミアン。 俺も昔はそうだったからな。


 そして俺はダミアンの反応を見て前世の中学生時代、男友達との思春期ゆえの女子には言えない秘密の会話などで盛り上がっていたあの頃を思い出す。


 そう考えればダミアンとは仲良くなれそうな気がしないでもない。


 男性はエロで仲良くなるものなのだ。


 そんな事を思っているとクラス全員二人組が組めており、フランから順番に模擬戦を始めるようである。


「ではフランよっ、これより儂と模擬戦をやるのだが手加減は無用っ!! 本気でかかってくるのだっ!!」


 そしてアーロンはフランに向かって全力でかかってこいなどとほざくではないか。


 控えめに言って死にたいのかと突っ込みたくなるのをグッと堪えていると、フランが『ど、どうしましょう?』といった感じで困った表情をしながらこちらを見つめてくるので『手加減をしてやれ。 多分フランが本気を出したら死ぬかもしれないぞ』と口パクで伝えると『分かりましたわっ!』と同じくフランも口パクで返してくれる。


 とりあえずフランとは意思疎通がこれでできただろうから最悪の事にはならないだろうと俺はホッと胸を撫で下ろす。


「いえ、せっかく本気でかかって来ても良いと仰っていただいたのは嬉しいのだけれども、アーロン先生が死んでしまいかねないと言われたので手を抜いて模擬戦をさせていただきますわっ!!」


 そしてフランは先ほどのオレとのやりとりをそのままアーロン先生へ告げるではないか。


 恐らくフランに悪気は無いことは、フランのいたって真面目な表情を見れば分かるのだが、それが逆にアーロン先生を怒らせてしまったようでみるみる顔が真っ赤になっていくのが見て分かる。 


 子供故の純粋さというかなんというか、真面目というか、なんだかんだでフランはまだ十二歳である事を思い出させてくれる。


「…………ふう、いかんな。 この程度で自分の感情をコントロールできないようでは戦場で命がいくつあっても足りないではないかっ! 儂もまだまだ未熟ということかっ! だが、フランが本気で相手をしたいと思った時はいつでも本気を出して良いからなっ!!」


 そして茹で蛸のように真っ赤になっていたアーロンなのだが、一度深く呼吸をすると真っ赤になっていた顔はみるみる元の色に戻っていき、昂っていた感情も穏やかになったようである。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る