第139話 親近感を感じてしまう
「わかりました。 それで良いでしょう。 それではまた放課後お会いいたしましょう」
そして私はそう言うと、他にこれといって用事もないのでそのまま教室から出て行くのであった。
◆
いきなり中等部の生徒会長が俺たちのクラスにやって来たかと思うとそのままフランのところまで来て、フランの魔術を見せて欲しいと言うではないか。
流石にトーナメント戦が控えているこの季節にこれはどうなんだと思わざるを得ない。
これでは手の内を見せろと言っているようなものではないか。
しかしながら昨日のフランの一件もあるので流石に見せる事はできないと言えない空気を感じ取った俺はフランに手加減した魔術を見せてあげるように指示を出す。
そして、この状況で俺に指示を仰ぎにきたフランは前回の事を反省していることが窺えてくる。
とはいっても別にフランを縛り付ける気はないので俺的にはフランのやりたいようにやってもらっても別に何ら問題はないのだが、やはり面倒事は少ない方が良いだろう。
フランもそのように思っているのか、もしくは俺に迷惑をかけたくないと思っているのか、その両方かは分からないのだが、聞いてきたからには手加減するように伝える。
しかしそれを聞いた生徒会長であるオリヴィアさんの横にいる女性が反論しようとし、そしてそれオリヴィアさんが止めに入る。
その慣れた感じからおそらくいつもの事であろう事が窺えてくるのだが、何だろう? このオリヴィアさんがリーリャと呼んでいた女性の言葉が、言葉通りの言葉に聞こえないというか、なんかゾクゾクと背中に悪寒を感じるような感覚になってしまうというか、よく分からない体験をしてしまう。
それはオリヴィアさんも同じであったようで少なからず疑問には思っている事がその表情からも伝わってくる。
何はともあれ、オリヴィアさんも大変なんだな、という事は伝わってきた為、俺は心の中で『お疲れさまです』と労いの言葉を送っておく。
何だかよく分からないのだけれどもオリヴィアさんには親近感を感じてしまうんだよな。
そんな事を思いながら俺は次の授業の準備を始める。
とはいっても計算(前世でいう算数レベル)の授業なので別に聞かなくても良いのだが、教師はこの授業のために準備をしてきてくれている訳で、それを無碍にするのもどうかと思うし、内申点もあるので授業内容は既に教えてもらう必要がなくてもしっかりと受けるつもりである。
それに俺がサボれば意外と真面目なフランにも良く思われないだろうしな。
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