第137話 私は聞き逃さなかった
しかしながら今私がやるべき事はフランさんの髪の事を解明するのではなく、フランさんに話し合いに来たのであって余計な事は考えないようにするべきであるので私はフランさんのドリルの事を考えるのをやめる。
「貴女がフランさんかしら?」
そして私はメガネの女性が教えてくれた、教室の後方の席に座っている金髪の女性のところまで歩いて行き、声をかける。
その間リーリャは『オリヴィア様がわざわざ向かうことなど必要ありませんっ。 一言『ここまで来なさい』と言えば良いのですっ』と言うのだが、自分がフランさんに用事があって来たのだから向こうをこちらへ呼び寄せるのは、何度も言うのだけれども相手に失礼だと返し、フランさんを呼び寄せるという事は却下する。
「はい、わたくしがフランで間違いないですわ。 しかしながら先輩のようなお方がわたくしに何かしたかしら? ま、まさか直したとはいえわたくしが修練場を一度壊した事でここにきたのかしらっ!? そ、それでしたら初めに言わせてほしいのですけれどもわたくしはわざと修練場を壊そうと思っていた訳ではないんですのよっ? そもそもわたくしは壊さないように手加減したつもりでしたのっ。 そしたらわたくしが思っている以上に修練場が脆くて……まさか修練場であるにも関わらずローレンス様がそうするように壊れないように何かしら耐久性が上がる魔術などを使用していないとは思っていなかったんですのっ。 ですが、その、壊してしまった事は間違いないのでそれについては謝罪いたしますわっ」
そして私がフランさんに声をかけると彼女は自分が修練場を壊したからこそ私がフランさんに会いにきたのだと勘違いしたらしく、そのことを謝罪してくる。
しかしながら私は聞き逃さなかった。
フランさんが壊さないように手加減をしていたという事を言ったのを。
壊そうと思って壊せないのが普通であるにも関わらずフランさんの話が本当であれば手加減したのに修練場を壊したというのは化け物の部類ではないか。
「フランさん、そこまで心配しないで大丈夫よ。 私は修練場を壊した事について咎めるためにここにきたのではわないわ」
「そ、それは本当ですの?」
そして私はフランさんに修練場を壊した事について咎めに来たのではない事を告げると、目で見て分かるほどにフランさんは安堵の表情を浮かべる。
その事からも彼女が修練場を壊したのはわざとではないと思って良いだろう。
「えぇ、本当よ。 けれどもフランさんが修練場を壊したことが関係しているわね。 もし良ければフランさんの魔術を放課後でも良いので見せてもらえないかしら?」
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