第134話 なぜか引っかかるものを感じてしまう


「何もわざわざオリヴィア様が出向かなくとも、こちらまで呼び寄せればよろしいのではないでしょうか?」


  そして私がフランに会いにいく事をリーリャに告げると、フランをこちらへ呼び寄せれば良いと言うではないか。


 流石にそれはどうかと思うので一応軽く嗜めることにする。


「リーリャ、私は自分の都合で相手を呼び寄せる程偉くはありませんよ」

「ですが、オリヴィア様はこの学園の生徒会長です。 この学園のトップがどういう存在であるか分からないオリヴィア様ではないでしょう? それに先ほども申しましたがこれでは他の生徒に示しがつきません」

「リーリャ、だからこそ自ら出向く必要があるというものだわ。 呼び寄せるのは簡単だけれども相手の都合を一切考慮できていない時点で『面倒臭いから権力を翳して言う事を聞かせる』という行為であり、私はそれを良しとしないわ。 そんなのはただの権力に溺れただけの可哀想な人物でしかないわもの。 もちろん、それ相応の環境や立場であればまた別問題だという事はわかっているつもりだけれども、今の私は生徒会長の前にただの学生でしかないわ」

「……わかりました。 オリヴィア様がそこまでいうのでしたら私はオリヴィア様の意見を尊重いたします(はぁーっ!! 下の者に対してもこの寛容さ、さすがオリヴィア様ねっ!! 器の大きさが凡人とは違うことがわかるわっ!! 後、空気が美味しいわねっ!! そして未熟な私にもっと言ってやってくださいっ!! なんなら折檻してくださいっ!! スーハースーハーッ!!)

「わ、分かったならそれで良いわ」


 何故だろう。 確かにリーリャは真剣な表情で私の意見を尊重してくれると言ってくれているし、その表情は嘘偽りのないものであるという事が分かるのだが、なぜか引っかかるものを感じてしまう。


 しかしながらリーリャの表情や態度からは真剣そのものである事が窺える為きっと私の気のせいだろう。 もしかしたら私は自分が思っている以上に疲れているのかもしれない。


「それでは、今からフランさんのいらっしゃるクラスまで向かいましょうか」

「はい、かしこまりましたオリヴィア様」


 そして私は、とりあえずリーリャから感じる違和感は気のせいであると判断してフランさんがいるクラスへと向かう事にすると、一年のクラスがある棟の廊下で魔術師の講師であるガーランド先生と出会う。


「おはようございます、オリヴィアさん。 一学年のクラスがある棟まで来るのは珍しいですね」

「はい、おはようございます、ガーランド先生。 今日はフランさんに今から会いに行こうかと思いまして」

「あぁ、なるほど……それならば納得できますな。 しかしながらもうオリヴィアさんの耳にまで昨日のことが入っているとは流石はオリビアさんと言ったところですな」


 

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