第116話 白い炎
◆
「おかえりなさいませお嬢様」
「……これ」
私は別荘に帰るなりメイドに学園の鞄を渡した後、自室に入りベッドへダイブする。
そして目を閉じると思い出す魔術の授業風景。
今日は初日の魔術の授業があるということで少しだけ楽しみであった。
ダミアンみたいに『自分が一番』だと自惚れるような事はなかったのだが、それでもクラス内では上位五本の指に入るレベルの魔術は講師できるという自信はあったのだ。
それに今まで努力してきた魔術を師匠以外の人の前で見せるというのは、これはこれで楽しみでもあったし、同年代の者たちがどのようなレベルまで魔術を行使できるようになっているのか見るのも楽しみであった。
そして忘れもしない魔術の時間。
クラスメイト達の技術の低さに少しばかり落胆しながら私は魔術の行使すると、魔術を行使し終えたクラスメイト達がいる場所へと向かう。
そしてクラスメイトたちは私に『すごかったっ!!』や『上級生よりもす魔術のレベルは高いのではっ!?』などという言葉をかけてくれるので、お世辞と分かっていつつもそれらに丁寧に返した後はクラスメイト達の雑談には混ざらず次に魔術を行使するフランさんの行使する魔術を観察する事にする。
するとフランさんは魔術行使するにあたって杖を出さずに右手を的の方へ伸ばすではないか。
その姿を見たクラスメイトたちは嘲笑めいた笑いが聞こえ始め、それは私も同じであり杖を使わずにどうやって的まで【火球】を維持して当てる事ができるというのかと思っていた。
杖を使わずに行使するということは、それは魔術の知識が全く無いということでもあり、それだけで見る価値がないというのが分かる。
そう思いクラスメイトたちの雑談に混ざろうと視線を外そうとしたその時、フランさんのツインテールが回転し始めると、手のひらに出した【火球】の色が赤、オレンジ、白と変化し始めていくではないか。
その【火球】の色を見た瞬間一体どうやって白い色まで持って行けたのかと、まだフランさんは魔術の行使中だというのに私は声をかけようとしていた。
魔術の行使中に声をかけるなど、最低な行為であり、普段であれば決してそのような事をしないのだが、この時の私はその常識すら抜け落ちてしまうくらいに白い炎に興奮してしまっていたようである。
しかしながら私がフランさんに声をかける前にフランさんはその白い色の火球を的目がけて撃ち放つ。
するとその白い火球か的をいとも簡単に貫くと、修練状の外壁に当たって爆発し、爆風と共に砂嵐を起こす。
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