第115話 ほどほどに
そしてフランなのだが、魔杖もださずに魔術を行使するようである。
おそらく魔杖を使わずに無詠唱で行使するというのがフランなりの『ほどほど』なのだろう。
確かに、魔杖を使えば詠唱を省ける上に魔術への魔力伝導効率も跳ね上がるため魔杖を使わずに行使する魔術と比べれば威力も高まる為、魔杖を使わないというのは確かに『ほどほど』という意味では合っているかもしれない。
しかしながら俺が言う『ほどほど』は『クラスメイト達のレベルに合わせて魔術を行使してほしい』という意味であり『魔杖を使わないで魔術を行使する』という意味ではない。
そしてとうのフランはというと、二本のドリルを真後ろに伸ばしドリルの大きさが二倍ほどに膨らんだかと思うとギュルンギュルンと回転し始め、フランは右手を開いた状態で的へ向けると、火球が現れ、赤、オレンジ、白と色が変化していく。
そんなフランの回転するドリルを見ると、どうやら回転する事によって空気中のマナを取り込むギミックになっているようである。
……………………なんだこのチート令嬢は?
俺の知らない間にドリルの機能がグレードアップしているんだがっ? てかこれヤバくね?
そう思った時には既に遅く、フランの生み出した火球が打ち出された直後であった。
そしてフランが打ち出した火球は的を見事に貫き、それでも止まらず修練場の外壁にあたると爆風と砂嵐を巻き起こしながら修練場に大きな穴を開けてしまっているではないか。
その光景にクラスメイトだけではなく魔術講師であるガーランド先生がアゴが外れそうなほど驚愕してしまっているのが見える。
「思ったより的が脆かったですわね……。 申し訳ございませんわ。 修練場の穴や外壁は一応わたくしの土魔術で応急処置はさせていただきますので退学だけはどうかお許しいただければ……」
この
そして、十分程で放心状態から抜け出せたガーランド先生はフランに『問題ない。 だけど次回からはほどほどにしてくれたらありがたい』と伝えていた。
そんな中で俺の番が回って来た為、ダミアンレベルの【火球】で的に当てて初日の魔術の授業は終わるのであった。
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