第111話 守りたい、そのドリル
そしてフランは俺の隣に座ると、クラスメイトたちの会話は楽しかったと興奮気味に伝えてくると共にギュルンギュルンと元気よくドリルも回転する。
守りたい、そのドリル……ではなくて、守りたい、その笑顔とつい思ってしまう。
なんだかんだでフランとの付き合いは長く、婚約当初こそはその内婚約破棄されるのだろうな、と思っていたのだが、今では誰にも渡したくないという感情が俺の中に現れ始めている。
その気持ちが恋愛感情であれば俺やフラン双方の両親は喜ぶのかもしれないのだが、今のところ懐いてくれた姪のような感覚なので、そこは少しばかり申し訳ないと思ってしまう。
しかしながらそうは言っても精神年齢が違いすぎるのでまだフランを異性と思えるようになるのはまだまだ先になりそうだ。
そんな事をもいながらフランと当たり障りない会話をしていると魔術の授業を担当する五十代程の男性講師が俺たちの教室へ入ってきたところで本鈴が鳴り響き魔術の授業が始まる。
「では、魔術の授業を始めよう。 前回授業内容を説明した時に一度私の自己紹介をしたのだが、もしかしたら覚えていないものもいるかもしれないので、一応まずは私の自己紹介から始めるとしよう。 私は元宮廷魔術師のガーランドだ。 気軽にガーちゃん先生と呼んでくれていいぞ。 以後覚えておくように」
そして魔術の授業の講師は自己紹介を軽くした後そのまま授業に入っていくのだが、流石にガーランド先生の、まるでラガーマンを彷彿とさせる筋肉という鋼でできたボディーに身の丈二メートルを超える巨躯では流石に『ガーちゃん』というニックネームは無理があるだろう。
何なら裏で『筋肉だるま』と呼ばれてしまう流れである。
てか、あの肉体で魔術師というのだからそのアンバランス感に違和感しかない。
ちなみにガーランド先生を見た時に某錬金術師の筋肉担当のキャラクターを思い出したほどには酷似しているので、俺は思わず二度見してしまったほどである。
そして、そんな筋肉の要塞でるガーランド先生は生徒達の戸惑いも何のそのと授業を進めていく。
今日の授業は魔術の一時間勉学、一時間実技という流れでやるらしく、今は後半に行使する魔術である炎の魔術段位一【火球】についての説明をしていく。
その時に魔術の行使する方法などは省いて説明していき、クラスメイト達はその授業をつまらなそうに聞いているのを見るに、ここにいいる全員家庭で魔術は習っていたという事が窺えてくる。
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